岡田明丈が試合中に崩れ始める原因を詳説します。

Last Updated on 2023年3月9日 by wpmaster

今季の岡田明丈

今シーズンの岡田明丈は、12勝5敗。

最初の試合に、左足で弧を描いてボールを握る手が打者の前に早くに現れて打ち込まれましたが、序盤は、好スタート。

しかし、5月6日の阪神戦で、試合序盤は好スタートを切りましたが、40球4回辺りから状態が下降し、6回に四球を連発して大きく崩れ、5回2/3 109球 4安打 6四球で7自責。

その後も、試合中盤で、同様なことが原因で試合中盤に崩れることが多くなりました。

それでも、中盤に一度と、終盤に先発ローテーションを外れた以外は、ほぼ1シーズン先発ローテーションで回りました。

しかし、シーズン終盤に打ち込まれる試合が増えて、防御率は、4点台になり、規定投球回に達することができなくなってしまいました。

今季のシーズントータルの成績は、次のとおり。

24試合(全て先発) 12勝5敗 防御率 4.00

2,366球 打者604人 141回2/3 134被安打(内、被本塁打9本) 四死球 67 奪三振109

完投2 無四球試合 1 QS率 54.17%

1試合最多投球数 147球(4/8)

1試合平均  98.6球

中5日が4回、それ以外は(登録抹消期を除く)、中6日で登板。

今シーズン、試合の中で、40球を超えた辺りで、状態が下降していくことが何度も見られた原因については、5月6日の試合のレポートのところでも、書きましたが、改めてここで、断片的ではなく、一連の投球動作の一部始終から探り、詳説したいと思います。

良いパフォーマンスをもたらさない投げ方

岡田明丈は、左足を骨盤よりも高く上げます。

グラブを高く上げることにより、右肩を上げます。

右足の重心は、踵にかかっています。

右足の重心を拇指に移して、ヒップファーストで左足に重心移動していきます。

左足を下してステップし始めます。

グラブを持つ手の肩を内旋します。

テイクバックのときに、右肩が下がります。

高めの球は失速が抑えられますが、低めのボールは垂れて(失速して)しまいます。

また、肩を損耗させてしまう投げ方です。

左足のくるぶしが一塁線上に向いています。

ここから、左足で弧を描き始めます。

右腕前腕部を回内します。

右手首の小指側が背中から出ます。

右手首は背骨の方までは入りません。

右手首の小指側が背中から出るので、右腕前腕部の深層屈筋、右腕上腕部の棘下筋が突っ張ります。

ステップする左足の膝を伸ばします。

左足の前脛骨筋は、回内(外反)できています。

しかし、プレートに右足をかませて右股関節を二塁側に内旋していますが、骨盤が三塁側に滑ってしまっています。

左足で弧を描き続けています。

骨盤が滑ること、弧を描くことにより、右肘のコックアップする間、トップを作る間ができず、右腕上腕部の内旋運動が加速しません。右肘が伸びてボールが高めに外れたり、ボールを引っ掛けたりします。

打者は、左足を上げます。

右腕前腕部を回外し始めます。

骨盤が更に三塁側にスライドしてしまっています。

ここまでのところ、グラブを持つ手の肩は、開いていません。

右腕前腕部を更に回外します。右肘が下がります。

右肩は、左肩より、やや下がっています。

ルーズショルダーになりやすい投げ方ではないです。

未だ、左足で弧を描いています。

右腕前腕部は回外しています(スタンダードW)。

右手小指第二関節が内旋する分、右肘側副靭帯の前束の張りが緩和されます。

右腕上腕部が内旋し、右肘を逆L字型にしています。

右腕上腕部棘下筋、右肘側副靭帯の前束が張ります。

大腿骨を骨盤に突き刺します。

右足を蹴り始めます。

後ろの骨盤は、打者の正面に現れていませんが、

左膝と左足の爪先が弧を描いています。

左足のくるぶしが一塁側に向いてしまっています。

左足で弧を描き終えつつあります。

左足は、足首を底屈後、踵から入射していきます。

右足踵が地面を離れます。

左肩は未だ開いていませんが、

左股関節を外旋し始めています。

腸腰筋は、未だ外旋していません。

左肩が開き始めています。

右肘をつまみ上げます(コックアップ)。

左腕前腕部が回外します。

右肩の内旋がタイトすぎたので、未だ、トップはできていません。

打者は、左足を上げ、グリップの位置を下げます(ヒッチします)。

ここでトップができます。

ボールを握る手は、耳の近くにあります。

着地したとき、左膝は直角に曲がっています。

未だ、胸は打者の正面に現れていません。

胸の張りを作ります。

ボールを握る手は頭の後ろに隠れていますが、

左膝が開いてしまっています。

三角筋を使って右肘から上の前腕部を後ろに引っ張ります。

踵から着地した関係で、右肘が高く上がりますが、肘の曲がる角度は、スリークウォーター(45°)からオーバースローの間です。

右肩の上腕部が右肘よりも凹んでしまっています。

肩を損耗している投手の投げ方です。

2017年5月6日の阪神戦では、この右肩が凹む動作を連発します。

膝も大きく開いています。

右肘も伸びています。

ボールがシュート回転(失速)します。

打者は、トップを深くいれ、ヘッドを立てます。

右腕を内旋します。

打者は、やや踵体重ですが、振り下ろし始めます。

フィニッシュで重心が三塁側に残っています。

腕を振り切ることができません。

打者も踵体重でしたが、重心を後ろに残して打たれています。

よりよいパフォーマンスを産み出す投げ方

岡田は、マウンドのやや一塁寄りに立ちますので、縦回転の球が投げられます。

左足を骨盤の高さより高く上げ、

グラブを上げます。

右足は、踵体重です。

拇指に体重がかかり過ぎると右足の蹴りが弱くなりますし、踵に重心がかかり過ぎると上体が反ったり、蹴りが強くなりすぎて瞬発力が消耗するので、骨盤の上に上体、頭が乗って、緩く「く」の字に曲がるぐらいが丁度いい塩梅でしょう。

グラブを胸元下に下し、

瞬発力による負荷を解いて脱力します。

膝はルーズに曲げています。

体全体が緩く「く」の字に曲がっています。

重心を落としていき、スライドステップのとき、左くるぶしは本塁方向に向いています。

打者は、左足を上げ始めます。

右股関節を二塁側に内旋し、右足をプレートにかませ、骨盤が三塁側にスライドしていません。

右肩と左肩は、ほぼ水平になっています。

この段階で、若干、右肩が下がるのは、縦回転の球を投げる上で止むを得ません。

右肩が大きく下がらないことで、低めの球も垂れません。

右肩を可動域限界まで内旋し、手の平が外側(一塁側)に向いています。

いわゆるアーム式に近づいています。

やや右肩がロックされてしまっています。

右肘を逆L字に曲げ、右肩を内旋します。

両肩は、ほぼ水平で、右肘も右肩よりも上がっていません。

プレートにかけた右足から内旋したボールを握る手までにかけてCアーチがかけられています。

瞬発力を産み出す投げ方です。

右肩を内旋し、両肩甲骨をぶつけていきます。

フットファーストの投げ方になっています。

少し、重心が後ろ足にかかり過ぎなようにも見えます。

瞬発力が消耗しないでしょうか。

もう少し膝をルーズに曲げて、後ろ足への体重のかかり方の比重を下げてはどうでしょうか。

右足を蹴り始めますが、右股関節にタメがあります。

後ろの骨盤は、打者に隠れています。

左足は、踵を含むスパイクの内側から着地し始めます。

右肘をつまみ上げます。

左足は、踵から着地していきます。

グラブを持つ手の肩を内旋しているので、左肩は開きが抑止されています。

大腿骨を骨盤に突き刺します。

トップが出来上がります。

ボールを握る手は、耳の近くにあります。

左足は、踵から着地していきます。

打者は、グリップの位置を上げ、左足を下し始めます。

右肩甲骨を剥がしていきます。

胸の張りを作っていきます。

回転軸が一塁側に傾いていますので、回転数の多い球が投げられます。

着地したとき、ボールを握る手が頭の後ろに隠れています。

左膝も直角に曲がっているので、ボールに瞬発力を伝えることができます。

打者は、トップを深く入れ始めます。

胸の張り使って、三角筋に負荷をかけずに右肘から先の上腕部を後方に引っ張ります。

ボールを握る手が頭の近くにあるので、瞬発力が逃げずに、又、靭帯は損傷しにくい投げ方です。

ボールを握る手がここで、打者の前に少し現れ始めつつありますが、まだ、大部分は、頭の後ろに隠れ、右胸が打者の正面に向いていません。

右肘も捕手の方を向いています。

右肘も上がり、肘の曲がる角度も、スリークウォーター(45°)よりオーバースロー(85°)に近くなっています。

膝が垂直に曲がった上で上体を傾けるのは、瞬発力をボールに伝えることができるのですが、右肩上腕部の凹みは辛うじて抑止できています。

回転軸が左に傾いているので、左膝も一塁側に傾きますが、左膝は開いていません。

腕を内旋し始めます。

左膝を上に蹴り上げ、内転筋を上に伸ばしていきます。

小指の側からチョップするように、手の平を外側から内側に向け、腕を内旋します。

腕のしなりもできています。

既に、頭が前に出されているので、後ろも前も大きい投げ方になっています。

左膝を上方に蹴り上げます。

捕手に背中を向けるぐらい、腕を振り切ります。

首の上下移動で腕を振り切りますので、バックスピンのかかった球が投げられます。

目線をミットに送り続けることは無理ですので、肩甲骨を捕手の方に向けることで制球します。

一塁側に上体が傾き、伸ばした左膝で壁ができるので、腕のフォロースルーの通路をふさぎません。

この壁は、内臀筋、腸腰骨、股関節がリリースしていない内に一塁側にターンするのを抑止します。

ボールを頭の後ろに投げる寸前まで隠していたので、打者は、振り下ろし始めます。完全に遅れています。

打者は、左膝が伸び切って完全に差されています。

左膝が完全に伸びます。

右足を一塁側にターンして、左足の前を通過したときも、メジャー投手並みに上体が一塁側に傾けられていますので、縦回転がかけられます。

右足を一塁側に送って完了です。

各種データ

コース別成績

右打者

左打者

左足で弧を描いたり、左膝、左肩が開けば、特に、左打者は、打者の目線から遠く、対応が急がなくてもよいアウトローは、更に、リリースポイントと打者の目線が遠くなるので、打たれます。

ヘッドの返りを止めることができますので打数も、三振も右打者に比べると少ない。

左打者に、打者の目線から近く、急ピッチでの対応が要求されるインハイにも対応されているところから、左足の弧の描き、左膝、左肩の開きが原因で対応されていると見ることができます。

左打者は、同じ原因で、体を前に出されずに、真ん中低目を打つことができ、インローの腸腰筋、股関節、内臀筋、肋骨周辺の筋肉を使って産み出した瞬発力が最も伝わるインローも打つこことができている。

球種別成績

①ストレート  297-77  .259  4本

空振率 6.90%    見逃率 19.74%

ストレートのMaxは、155km/h(先発)

カットボールも相当含まれている。

②スライダー  148-36  .243  4本

空振率 9.57%      見逃率 16.49%

③カーブ  50-12   .240

空振率 9.75%    見逃率 14.41%

④チェンジアップ  22ー7   .318    1本

空振率  8.04%  見逃率 16.96%

140キロ台のストレートチェンジとフォークボールのように深く握るものとがある。

⑤スプリット 2ー2    .1000

空振率 18.75%      見逃率  6.25%

⑥シュート 0-0    .000

空振率 0.00%    見逃率  0.00%

ストレート系の空振率が低く、見逃率が高いのも、左足で弧を描くことがあること、左肩、左膝が開くことがあること、股関節、腸腰筋の外旋が早いことがあることと関係あるだろう。

アウト内訳

内野ゴロ 171

併殺による増加分 19

犠打  15

外野フライ 76(76+3+3/425-19-4=20.3%)

捕殺  4(安打によるもの1)

犠飛  3

内野フライ 28(29/402=7,21%)

スリーバント失敗 1

三振 108(108/402=26.8%)

合計 425

内野失策 2

フィールド内に飛んだ打球319の内、58.9%が内野ゴロであるグラウンドボールピッチャーである(アウトに占める割合は、42.6%)。

主な打者との対戦成績

坂本 12-1 . 083   3振

阿部 11-3    .273   1本 2振

マギー 9-4    .444    2振

陽岱鋼 6-4   .667    1振

長野  9-0   .000    3振

小林誠司 7-0   .000    1振

村田 5-2   .400   2振

亀井 4-0    .000    1振

橋本 3-2  .667

バレンティン 14-3    .214    1本 7振

山田哲人  13-2    .154    1本 3振

坂口 14- 4  .286     2振

中村悠平 10-3   .300     1振

山崎晃大朗 7-3   .429

奥村 7-3   .429

ウィーランド    2-2    .1000   1本

宮﨑 8-6    .750

筒香 10-4    .400    1本

ロペス 11-4    .364     1本  1振

梶谷 12-4    .333     4振

石川 7-4    .571      1振

桑原 13-2   .154      1振

倉本 10-2    .200    1本 2振

戸柱  10-2    .200    1振

松井雅人 5-3    .600

福田  5-2    .400    1本

京田  12-4     .333

大島  9-3     .333    3振

ゲレーロ 9-1  .111      4振

藤井 6-2  .333    2振

ビシエド 6-0   .000

鳥谷  6-3    .500

梅野   7-3     .429

福留   6-2   .333

髙山  7-0    .000

原口  5-1   .200    1振

中谷  4-0    .000    4振

糸原  5-1     .200    1振

糸井  6-1    .167    1振

上本  6-1    .167    1振

北條  6-1   .167   1振

栗山 4-2     .500     1振

秋山 3-0   .000   1振

浅村 3-1   .333   1振

メヒア  4-1     .250

中村剛也 4-0   .000   2振

田中賢介 2-2     .1000

中田翔 3-0    .000      1振

レアード 3-1   .333

大田  3-1     .333

西川遥輝 2-1      .500

小島脩平 3-2   .667

ロメロ   3-1     .333    1本

T-岡田  3-1    .333

月別成績

4月  5試合 3勝1敗     35回1/3    10自責 防御率  2.55

5月  4試合 2勝0敗     24回2/3    12       4.38

6月  4試合 2勝1敗  23回          11       4.30

7月       4試合 2勝2敗     23回2/3      5             1.90

8月       4試合    2勝1敗    22回         14              5.73

9月       4試合 1勝0敗     10回          4              3.60

10月  1試合     0勝0敗      3回          7             21.00

カード別対戦成績

巨人  4試合  3勝1敗  26回  4自責 防御率 1.38

ヤクルト 5試合 3勝1敗 33回1/3   9自責  2.43

DeNA 5試合 2勝1敗 24回 18自責 6.75

中日 4試合 1勝1敗 19回2/3   11自責 5.03

阪神 3試合 1勝0敗 18回2/3  14 自責 6.75

西武 1試合 0勝1敗  8回 4自責 4.50

日本ハム 1試合 1勝0敗 6回 1自責 1.50

オリックス 1試合 1勝0敗 6回   2自責 3.00

※データは、「データで楽しむプロ野球」を基に作成しています。

まとめ

岡田は、昨年8月7日の巨人戦の後、腕神経叢神経炎とのことで登録抹消されています。

本文でも書きましたが、投げ方に問題があって、右肩を痛め、試合の途中で崩れ始めるのは、右肩の故障と密接に関係があります。

岡田の投球動作で修正が必要なところは、上で述べたように、細かい部分を含めると沢山ありますが、主な点を挙げると次のようなことが挙げられるでしょう。

1.  左足をステップし始めたときに、三塁側に骨盤が滑ること。

2. テイクバックのときに右肩が下がり幅が大きいこと。

これは、右肩上腕部がリリースの前に凹むこととも関係があります。

3. ヒップファーストで重心移動しても、右足に重心がかかりすぎても上体が倒れて右肩上腕部がリリースの前に凹むこと。

4. ステップのときに、左足のくるぶしが本塁側に向いていないことがあること。

左足で弧を描いたり、膝が開くとシュート回転します。

5. 右肩の内旋がタイトすぎてトップを作るのが遅れること。

着地と同時にトップが完成すると靭帯に衝動がかかる。

フットファーストで右足をプレートにかませたときに、右膝をルーズに曲げて重心を右足にかけすぎないことが、試合中に崩れる原因となる右肩の凹みを修正する上で、重要になってくるのではないでしょうか。

岡田の場合、右肩の凹みによるものも含めた、各部位の開きを抑えることで、打者の始動、振り下ろしを遅らせて、体を前に出させたり、差したりすることができるので、コーナーピッチングは、不要でしょう。

それだけでも、大幅に投球成績は改善されるでしょう。

このことは、岡田でけでなく、岡田ほどの球速表示がされない投手でも不可能なことではありません。