今季の投手陣の編成を考える。一シーズンを乗り切る上で一軍レベルの投手は何人必要か。

Last Updated on 2017年12月3日 by wpmaster

シーズンを乗り切るに当たっては、投手のやりくりは、どの球団にとっても欠かせないことである。

それでは、先発を何人、中継ぎ抑えを何人にすれば、一シーズンを首位で乗り切ることができるだろうか。

過去のデータも踏まえながら考えてみたい。

ホームゲームでは、同点では、いい投手から投げさせる。

1~2点負けていても投げさせる。

ホームゲームで序盤大量リードされたり、打撃戦でも終盤一度勝ち越せば投げさせているということである。

3点差超のセーブの付かない場面でも、勝ち継投専門の投手は投げさせられる。

5点差以上であっても、相手打線が1点でも取っていれば投げさせられる。

昨季の広島の点差別試合の勝敗をピックアップすると次のようになる。

引分け   2試合 スコアは、1-1、3-3である。

1点差試合  35試合 18勝17敗

2点差試合  29試合 17勝12敗

3点差試合  18試合  11勝7敗

4点差試合  6試合  5勝1敗

5点差試合  10試合 8勝2敗

敗戦処理を全くしない中﨑、Jacksonのいずれかが6点差超の試合で登板した試合  7試合

2+35+29+18+6+10+7=107試合

最大7点差で登板している。

延長戦 9勝8敗1分け

先制した試合が55勝23敗(再逆転勝利11)

3回終了時のビハインド勝敗は、19勝25敗 .432(リーグ1位)

6回終了時のビハインド勝敗  12勝35敗 .255(リーグ1位)

昨季のチーム完投数は、Jhonsonが3、野村、黒田、岡田、戸田が各1の合計7試合である。

上の結果から、早い段階で捨て試合にできるのは、多く見積もっても35試合

上の結果から、試合の早い段階で、勝敗が付いた試合以外で、敗戦処理以外の投手のいずれかが登板した試合は、107試合あるということである。

中﨑、Jackson、今村らを107試合に全て登板させていたら、次の試合以降も投げられるだけの余力を再生することはできない。

昨季広島投手が投げたイニングの総合計が1284イニング、総投球数21,069球。

昨季救援投手が投げたイニングは、435回2/3。総投球数は、7,123球 自責148

全投球回の33.9% ほぼ1試合平均3イニングを救援投手が投げている。

全投球数の33.8%を救援投手が投げている。

救援投手は、1イニング平均18.0球 1試合平均52.3球投げている。

昨季、中継ぎ登板したことのある人数は、延べ22人

延べ394人が救援登板している。

1試合平均 2.75人

先発投手が完投しなかった136試合の投手起用の内訳は下記のとおりである。

救援投手が1人・・・・10試合

救援投手が2人・・・・43試合

救援投手が3人・・・・49試合

救援投手が4人以上・・・34試合

救援投手の勝敗の合計は、29勝18敗 防御率2.59

昨季の広島投手の救援成績は、下記のとおりである。

中﨑 61試合 3勝4敗 34 S 7HLD 61回1/3 9自責 1.32  1,012球

Jackson 67試合 5勝4敗  37HLD 68回1/3 13自責 1.71  1,123球

今村  67試合 3勝4敗 2 S 22 HLD 73回2/3 20自責 2.44 1,194球

ヘーゲンズ 44試合 5勝2敗 19HLD 51回2/3 14自責 2.44 771球

一岡  27試合 1勝1敗 5HLD 24回2/3  5自責 1.82  398球

大瀬良 16試合 3勝1敗 4HLD 18回2/3 4自責 1.93   277球

九里  17試合 1勝0敗   30回 6 1.80   491球

藪田  13試合 1勝1敗 1HP 13回 8自責  5.53   246球

戸田  11試合 2勝0敗 1S  19回 6 2.84  302球

オスカル 23試合 2勝0敗 22回 16 6.35  370球

永川  11試合 2勝0敗  10回 7自責 6.30 158球

江草   8試合 0勝0敗  9回6自責 6.00 137球

中田廉  8試合 1勝1敗  4回1/3 8自責 16.62  100球

小野   6試合 0勝0敗  7回1/3 6自責 7.36 141球

岡田   3試合 0勝0敗 1HLD 5回 0自責 0.00 61球

塹江   2試合 0勝0敗    1回1/3 6 自責  40.50 30球

飯田   2試合 0勝0敗    3回1/3 0自責 0.00 61球

佐藤祥万 2試合 0勝0敗    2回1/3 2自責 7.71 51球

西原   2試合 0勝0敗    5回 7自責 12.60 106球

デラバー 2試合 0勝0敗    2回 0自責 0.00  29球

久本   1試合 0勝0敗    1回 5自責 45.00 35球

横山   1試合 0勝0敗    2回 0自責 0.00 30球

勝継投の投手は、シーズントータル5人(中﨑、Jackson、ヘーゲンズ、大瀬良、一岡)要している。

ビハインド兼務が、シーズントータル4人(今村、九里、戸田、薮田)

主にビハインドが、オスカル、永川の2人

勝ち継投及びそれに準ずる救援投手は、9人必要になる。

シーズントータルで、試合が成立する5回の段階で、勝敗がわからない試合が107~108試合と考えると、今シーズンも中継ぎローテーションに近いやり繰りが必要となる。

今シーズンは、中﨑、Jackson、ヘーゲンズ、今村の4人に登板数が偏った。

シーズントータルを考えると3連騰は免れたいところ。

ヘーゲンズを先発に回し、チームの勝ちが増えてくると、今季も中﨑、Jackson、今村に偏る。

それでも、できれば、最も登板数の多い投手でも回跨ぎなしで、60試合以下にとどめたい。

捨て試合を除いた試合は、7試合中4登板のペースに投げると仮定すると108試合×4/7=62試合と近似値になる。

Jackson、中﨑、今村を交代で各々2回登録抹消(10日間7試合相当)すると

14試合×108/143=10試合

98×4/7=各56試合になる。

①3連騰を回避する、

②最多登板試合投手の登板数が60試合未満とする

上記の要件を充たすとすれば、救援ローテーションは、6人が必要となる。

救援ローテーション例

上の表の1には、Johnson、2に福井、3に九里、4に野村、5にヘーゲンズ、6に戸田が入る。

7以降は、Johnson、福井・・・が入る。

セルは、下から9回、8回、7回である。

Aは、クローザー、Bは、セットアッパー

C、Dがケースバイケースでクローザー、セットアッパー、7回を担当する。

E、Fは、敗戦処理も兼ねる。

いずれの投手も回の頭から投げさせる。

休みの日には、ブルペンにも入らない。

Aが中﨑、BがJackson、Fが藪田で、C、D、Eには、岡田、大瀬良、今村が入る。

できれば、一軍の救援投手枠は、救援ローテーション投手6人プラス敗戦処理1人で埋める。

Jackson、中﨑、今村の中から一人抹消されている間は、一軍にいる誰かが繰り上げそこにで入るか、二軍から誰かを上げなければならない。

そうなると、シーズントータルでは、Jacksonの代役1人、中﨑、今村の代役(故障でもない限りJackson、中﨑、今村は同時に2人抹消しない。既に一軍登録投手の誰かが回るから、代役をした投手のポジションに二軍から1人、それ以外の中継ぎ投手が2軍で休養中又は調整中に代役として2人の計4人の救援投手が必要となる。

中継ぎローテーションは、クローザーやセットアッパーも休むから、中継ぎローテーション内の投手に実力差があってはいけない。

相手打者が、先発よりも遅いと錯覚するような投手がいてはいけない。

先発、救援の両方ができる投手は、先発、救援に偏らずに配置しなければならない。

中﨑、Jackson、今村、大瀬良、岡田、藪田が通年中継ぎローテーションで、一岡、塹江、ブレイシアが二軍で待機する。

広島ファンの多くやメディアが中継ぎとして計算する投手としてオスカル、加藤らがいる。

オスカルの場合、リリースの際、「く」の字に曲がっている。

右足で弧を描く。

体が開いて、左足の蹴りも足りず、肘が下がって伸び、腕が横振りになる。

よって、ボールに力が伝わらない。

大学、社会人を経て2年目で、飯田らと共に今季は、結果が出なければ契約更新が難しくなるが、投球動作に修正するところが多すぎる。

昨年のままであれば、中継ぎローテーションに入れるのがきつい。

プロの公式戦で一球も投げていない加藤は、制球を含めた実力が未知数で、1点もやれない場面を含む中継ぎは任せられない。

加藤は先発、敗戦処理に飯田、永川、今井、オスカル、江草が入れ替わり一軍で登板する。

昨季、広島の先発投手は、848回1/3、13,946球を投げている。

先発が食った投球回は、全投球回の66.0%、球数は、全投球数の66.1%。

1試合当たり5.94イニング、97.6球投げている。

6回100球のラインにほぼ近い。

この面からも各試合3人~4人の救援が必要であったことがわかる。

昨年の完投数は、Johnsonが3、野村、黒田、戸田、岡田が各1の7試合。

岡田の1回は、ソフトバンクの5イニングである。

野村は、16勝したが、規定投球回に達した投手の中では、引退した黒田を除くとイニング数が最少。

先発が5回を投げ切った試合の連続は、13試合(DeNaは、34試合)

今季の完投数は、Johnson 2 野村又は福井が1の合計3ぐらいであると思われる。

救援投手の数が昨年より少なくていいとは言えないだろう。

昨シーズンの先発成績は、下記のとおりである。

延べ13人が先発している。これは、12球団で4番目に多い。

先発投手の防御率は、3.28

60勝34敗。

昨年の57勝よりも3勝多い。

K.Johnson 26試合 15勝7敗 2.15 180回1/3 43自責  2,895球

野村    25試合 16勝3敗 2.71 152回2/3 46自責  2,580球

黒田    24試合 10勝8敗 3.09 151回2/3  52自責  2,356球

岡田    15試合  4勝3敗 3.20 84回1/3 30自責  1,304球

福井    13試合  5勝4敗 4.34 76回2/3 37自責  1,315球

九里    10試合  1勝2敗 6.12 50回  34自責   882球

中村恭平   8試合  1勝1敗 5.20 35回   21自責   599球

戸田     6試合  2勝0敗 2.78 35回2/3 11自責   593球

ヘーゲンズ  6試合  2勝3敗 3.69 31回2/3 13自責   522球

横山     5試合  2勝2敗 5.92 24回1/3 16自責   419球

藪田     3試合  2勝0敗 0.50 18回    1自責   332球

塹江     1試合  0勝1敗 3.60 5回 2自責    80球

大瀬良    1試合  0勝0敗 12.00 3回    4自責    69球

セリーグの先発投手で毎年コンスタントに2点台の防御率を残せるのは、K.Johnsonと菅野ぐらい。

他は、数年に一度かキャリアハイで2点台残せるかという投手。

毎年、各球団一人出るか出ないかである。

中継ぎ、抑えでも0点台の防御率は、毎年リーグで1人出るか出ないかである。

先制を許した試合は、34勝29敗(内、再逆転負けが3)1分け

逆転勝ち45 逆転負け26

確かに、追われるよりも追いかける方が難しいが、現在の打線のレベルであれば、先発投手が5回2失点であれば、5回終了の段階で2-2。

場合によっては、勝ち越せる。

後述の5番手の戸田までは、コンスタントにゲームを作ること(5回2失点)が可能。

先発6番手の投手でも、5回4失点であれば、2-4。

試合は作れて、逆転や勝ち越しが可能。

中継ぎローテーション制を採用すれば、先発6番手の投手は、最悪3回4失点で降板し、敗戦処理専門の投手が粘って、5回終了の段階でチームのスコアが2-4になっていればよい。勝ち越したら、Fを挟んで又は直接7~9担当の投手につなぐ。そうでなければ、敗戦処理専門の投手、E,Fで試合を終わらせる。

そう考えると、救援投手にいい投手置いておきたい。

先発は、Johnson、野村、福井、ヘーゲンズ、戸田、九里の6人がローテーション。

Johnson、ヘーゲンズ以外は、いつ離脱してもおかしくない、ヘーゲンズも一年間ローテーションで投げたことがない。二軍で4~5人は、待機させて一軍で通用するレベルにしておかなければならない。

待機させる候補としては、中村恭平、横山、加藤、床田。それでも足りなければ、小野。

床田は、ややインステップして投げるが、いい球を投げるときは、左肘が上がり、左肘~左肩~右肩が三塁方向に向かって斜め下に下がり、左肩が後回転をかけてストロークを長くしてしなりを作っている。投げ終わった後に右膝が伸びて勢いのある球を投げている。

カーブ、ツーシーム、フォーク、カットボールを投げる。

最もいい球は、打者から見て初速と終速の差がないと感じられるカットボールだと思う。

能見や杉内に似ていると評されるが、少し違う。静止したときの構えや始動、肘の高さが違う。それと牽制が巧いこと。

入団時の比較でいうと、ロッテの石川には及ばないが、中々、いい投手ではある。

しかし、左足の蹴りが十分でないときがあり、肘の出所は下がっていないものの、肘が伸びきってしまって高めに大きく外れることがある。

もう少し下半身を作る余地はあるかもしれません。

立ち上がりがあまり良くないので先発の方が適していると思います。

今季は、一回ぐらいいい投球をしてくれるかもしれませんが、出てくるとすれば、来期以降だと思います。

オープン戦もまだ始まっていませんが、これまでのところを踏まえ、現段階での今季の先発投手の成績を予想してみます。

Johnson 26試合 14勝7敗 2.31

野村   25試合 11勝8敗 3.30

ヘーゲンズ 23試合 9勝6敗 3.72

福井    21試合 7勝8敗 3.93

戸田    14試合 4勝3敗 2.93

九里    12試合 2勝3敗 5.72

中村恭平   5試合 1勝1敗

加藤    8試合 2勝2敗

横山    3試合  1勝1敗

床田    4試合  1勝2敗

小野 2試合  0勝0敗

先発52勝41敗

中継ぎの9人が平均3勝・・・27勝20敗

シーズントータル 80勝61敗 勝率.567

結論としては、昨年との違いは、岡田とヘーゲンズのポジションを入れ替えて、福井が数字を上積みして黒田の穴の半分を埋めてもらうというだけなのですが、昨年よりはゲーム差は大分縮まりますが、優勝できると思います。

緒方監督、畝コーチは、一軍で通用する投手を20人作ると言っているが、実際にそれぐらい必要だろう。

[追記]

広島入団前のサファテと現段階の加藤では球威、制球とも違いすぎます。過去何度か書いていますが、まだまだ、加藤は投球動作の基本的な部分を直すところが沢山あります。

広島の入団前にプロで投げていたサファテとプロで一球も投げていない加藤を同じ俎上で論じてはいけないでしょう。

飽くまで、加藤は、戸田や九里や福井が故障したり、投球内容があまりに酷ければ、ローテーションに入る投手ですから、私もいきなり一軍で通用するとは思わないので、2勝の予想にしてあります。

まずは、ファームで修正してから一軍となります。

中﨑、今村については、優勝争いの山場を迎えた8月後半であるとか9月には二軍には落としません。

休ませるとすればそれよりも前です。

中﨑、今村を休ませるからには、それなりの投手を彼らのポジションに充てなければなりません。

彼等に代わり7回、クローザーを務めるわけですから、誰でもいいわけではありません。

中﨑、今村と実力差があってはいけません。

2人の代わりとして私は本文中で、大瀬良又は岡田を挙げています。

加藤と違って大瀬良、岡田は既にプロの一軍で球を投げていて実力がどの程度か把握することができています。