岩本貴裕は、再生することができるのか。

Last Updated on 2020年2月6日 by wpmaster

岩本は、再生できるのか。

こういう問題提起をすると、昨年までは、いつまでも過去の良かった頃を引き摺るなとか、もう夢を見るのはやめろとか、もう自由契約にした方がいいとかいう声が上がってきたところである。

現在の状況はというと、今でも期待され続ける堂林に比べ、30になった岩本に、ファンは、あまり見向きもしないかも知れない。

しかし、俺は、チームにとっても、岩本の将来を考えても、チームに置いて置かなければならない存在だと思う。

先ずは、岩本の打撃を分析しながら、その根拠を述べたいと思う。

岩本の打撃は、2012年には、1球毎にスクエアスタンス又はクローズドスタンスで立って、トップを捕手側に引いて構えている。

両膝を非常にルーズにして、柔らかく稼動し、クッションを作っている。

膝で軌道、スピードを評価しており、トップを動かして、スピード、軌道を評価しているわけではないので、トップが固まり、且つ、懐を深くした打撃ができる。

膝を柔らかくクッション運動ができるので、変化球も前でさばくことができる。

どのようなコース、高さにも対応できるので、16球ファウルで粘って安打したり、悪球打ちができる。

変化球とストレートの両方を待って打ちこなすことができる。

鈴木同様、肩幅の骨格が非常に広い選手で、スタンスの幅は、肩幅よりやや広い。

こういう選手は、壁が横に広く作れ、速球やサイドスローやアンダースローなどの横の変化に強い。

構えたとき、グリップは、奥まで引かず、頭に軽く隠れる程度に留めている。右肩を内に入れないので、肘も突っ張らず、内角を打つ時に窮屈にならない。

トップの角度は、45度ぐらい。深く入る。

ストロークが長く、バットとボールの距離の保ちにくいところも打てる。

2010年には、クルーンの外角高目の速球を右中間に本塁打している。

左腰の骨盤を使って捻り、

ヒッチさせて、グリップとヘッドを落として又、上げて割れを作り、

インハイは、X軸を作って打つ。

右手首の下がりだけを抑止して、インローは、バットをボールの下にくぐらせて、ボールの下2/3をミートしてバックスピンをかけて打つ。

打ち終わった後は、右足が突っ立って飛距離を出している。

右手主導で、右脇が開かない。

インパクトが終わった後で、左手首を返すときのリストの強さと、振り切り終わった後のトップの高さ、右打者では、鈴木、左打者では、岩本が広島の中でナンバーワンだと思う。

メデイアでは、広角に打てる打者と評されるが、引っ張り専門の打者である。

2012年の打球方向は、レフト方向が、80-14 0本 .175、センター方向が、98-20 0本 .204、ライト方向が、57-30 6本 .526である。

岩本は、2012年6月、19試合で、.397(得点圏.348) 3本 13打点 OPS 1.030を記録する。

2012年首位打者、打点王を獲得した阿部は、オープンスタンストップの位置を寝かせて動かしながら、球の速度、始動の時期を測っているが、岩本の方が膝でコントロールをして始動しているので、頭がブレず、一旦寝かせてからトップを作るという動きがない分、2012年6月に限っては、岩本の方がスイングの完成度は高い。

いいときは、ほれぼれするような打撃をする。

フルカウントで、相手投手がウイニングショットを投げるケースでは、18-6 .333と高打率であるが、

カウント0-2、カウント1-2という相手投手が、ボール球を投げやすいカウントで、悪球打ちができるが故にボール球に手を出す。

それ故、2ストライクを取られてからの打率が99-20 .204となっている。

2012年は、インハイが20-5 1本 .250(ゾーン内.364)、インロー18-6 2本 .333、インコースベルトの高さ9-2 1本 .222

アウトコースは、バットとボールの距離が取りにくい高目が23-8 .348、ベルトの高さが39-17 1本 .436

バットとボールの距離が保ちにくい、コースが真ん中、高さがゾーン内高目よりボール2個分高い所が、6-1 1本 .167、その下の所が、15-6 .400となっている。

それでは、岩本が打てなくなる原因はどこにあるか。

岩本の場合、ステップして着地するのが早いと、外角低目、真ん中低めのボールからボールの球に空を切り、後ろの腰の捻りが伝わらず、打っても、いわゆる泳いだ形になる。

鈴木誠也は、逆方向に打てるが打たないのであるが、岩本は、逆方向に打たされている。

鈴木は、逆方向に打って直ぐに修正して打率の下降線が極端に短いが、岩本は、いいときが長続きせず、打数が少ないこともあって打率が急降下したところで二軍落ち。打てない期間が長いか短いかもわからない。

2012年の球種別の打率は、ストレート .326、スライダー.231、カーブ.600、シュート.294、チェンジアップ.167、シンカー.375、フォーク.077、カットボール.143である。

この年は、7月30日に3割を割り、野村謙二郎が特打に付き添いアドバイスするも、8月11日、.278に下がったところで、二軍落ちした。それでも、200打数以上の打者の中で.268はチームトップであった。

落ちる球が打てないところから、2014年に、オープンスタンスにして、トップを投手側に角度を浅く向ける構えにして、ポイントを後ろにしたが、今度は、インコースをインパクトするときに、右足で弧を描き、右膝が伸び切り、速い球に差されるようになった。

2016年に再び、スクエアスタンスに戻し、トップの位置を捕手寄りに置いて、角度も2012年の頃に戻して真っ直ぐ系に差されなくなった。

一軍昇格してから藤浪などから、代打で3打席連続安打し、21-7 .333でチーム事情から二軍落ちした。

ファームは、打撃を調整しているので、いわゆる捨てる打席なので、ファームの成績は関係ない。

エルドレッドは、外の低目の見やすいところは、150キロちょうどまでは打てることがわかったが、新井もエルドレッドも速い球は、ポイントを後ろに置いて内から外に最短距離でバットを出し、右に打つ。

岩本の魅力は、引っ張れるところである。

鈴木誠也やイチローのようにストロークが長くても高打率な選手がいる。

今の打撃を大きく変えなくても、一軍で143試合起用すれば、レギュラーとして足るだけの、それなりの数字を残すと思う。

3割30本3盗塁も夢ではないと思う。

一塁守備は、チームで最も上手いが、基本的には、打つだけの選手で、外野を守ると打てなくなる。一塁しか守れないという制約を作ってしまったのも原因の一つである。

低反発球の2012年は、二軍降格させるのが早すぎたと思うし、2015年以降も一塁に新井とエルドレッドがいることから、なかなか出番がなく、手薄なポジションの選手と取って代われるので、打席数が与えられないのが原因で、実戦の中で修正するという過程が踏めないでいるのである。

新井は、今年ほどは打たないが、後1年半ぐらいは、2015年よりは打つだろう。

エルドレッドも新井も、速球投手のときに休ませながらの起用になる。

まずは、二軍で打撃成績ではなく、二軍で打撃の状態をキープして昇格してから常時一軍にいられるかである。

両者がスタメンから外れた試合で、いかに両者にできない打撃をするかである。

コメント有難うございます。

[追記]

松山は、岩本が一軍登録されている間は、一塁を守っていません。

一塁は、ベンチに松山がいるにも関わらず岩本が守っています(8月12日DeNA戦他全5試合)。

松山の一塁は、エルドレッド、ルナ、新井をベンチに引っ込めていたり、休ませたりで、岩本の打撃の状態が良くなくて一軍に上げていなかったり、チーム事情から二軍に落として、松山を起用せざるを得なかったというのが実情だと思います。

[追記]

ファンの目線から言えば、「二軍で打ってから上がってこい」ということになるのでしょうが、監督やコーチは、2軍の成績は、それ程、重視していないと思います。

一軍から落ちてきた投手は、投球動作の確認と調整をし、良くない球だけを投げ、全球種フルに使って投げないので、一軍で実績のある投手は、二軍の成績が悪いです。

いくら、発展途上の一軍に上がったことのない投手や、調整登板の投手を打ったところで監督やコーチは評価しません。それよりも、一軍にいたときとの内容の比較です。

実際、土生、堂林、庄司、野間などは、2軍で数字を残したところで、中々、一軍に昇格させてもらえません。

堂林は、下半身の使い方という基本から作り直さなければなりませんが、岩本は、基礎がある程度、できているが、細かい修正が必要というところだと思います。

下水流も今年はようやく芽が出かかりましたが、まだ、膝に負荷が入り変化球に脆いです。

逆方向への打球が伸びるとやたらに宣伝されますので、ファンの中では、堂林>下水流>岩本でしょうが、

堂林は手薄な三塁が守れるので一軍に昇格するだけで、又、右の外野は、鈴木しかいないのと、小窪が打てないことから下水流が昇格していますが、監督、コーチの打撃に関する評価は、岩本>下水流>堂林ではないでしょうか。

天谷と岩本は、いいとこ勝負ではないでしょうか。

松山がレギュラーを取るとすれば、レフトでしょう。松山の一塁守備は、一軍レベルではありません。岩本とは、守備位置が被りません。

松山は、右投げですが、岩本は、左投げなので、二塁、三塁の送球は、捕球した後、体を反転させずにそのまま送球動作に入れます。ハーフバウンドやショートバウンドの捕球がフォアハンドなので、正面ですくい上げた場合も、逆シングルで横に逸れた送球又は正面のワンバウンドを取るにしろ、リーチを長く取れる。

ベースカヴァーに入った投手や二塁手にも送球しやすい。

左足でベースを踏むので、手を伸ばしたまま、ベースを踏んで、ベースから足を離すので、ランナーと交錯しにくい。

牽制球を右手で捕球するので、捕ってから横に動かす動作なく、そのままタッチできます。

膝が柔らかく稼動できれば、一塁線の当たりも、送球を捕球するのと、同様の理由で、捕球しやすい。

左投げの一塁手は、貴重な存在です。

[追記]

ポイントを前で裁けば、ボールを見切れずに、ボール球に手を出し、又、四球も取れなくなります。

岩本の仕事は、四球でつなぐことではなく、走者を返すことだと思います。

ボール球を拾って右手で振り払って安打にできるか、凡打になるかは、少しの差だと思います。ポイントを前で打つことを基本軸にしながら、ポイントを前で打つ時も岩本の場合、壁が過度に投手寄りに形成されないかだと思います。

そうすれば、相手投手によって簡単に打ち取れない打者になると思います。

選球眼は、練習や実戦の打席で振ることで養われます。既にやっているでしょうが、山なりのティーが最適だと思います。