Last Updated on 2017年12月5日 by wpmaster
2016年のゴールデングラブ賞は、広島から4選手が選出された。
ゴールデングラブ賞は、記者投票なので、どうしても観念が入る。
録に野球を見ていない記者が、イメージや風評だけで投票することがある。
先ずは、受賞した4選手をポジション別に見ていくとする。
Uzr=Ultimate Zone Ratingは、同じ守備率の平均的な選手と比較してどれだけの失点を防いだかを示し、打球の種類、速度、併殺、肩を考慮して、安打になる打球をアウトにしたか、捕球できる当たりを安打にしたものがどれだけあるかによって算定される。
計算する者の観念が全く入らないわけではないので、これだけで守備の巧拙の完璧な基準と評価できるものではない。
Delta社のEssence ofBaseballによると、小林誠司のUzrは、4.2、石原が2.4。
盗塁阻止率が小林が.356、石原が.333
捕逸が石原3、小林4。併殺が小林15、石原4。
失策が石原が1、小林が6で、守備率が石原.998、小林が.994
石原は、今季三年ぶりに捕手で100試合以上出場した。(106試合、小林は、129試合)
以前から、膝を付かずに低く構え、捕逸しないキャッチング、ミットを動かさない捕球であるブロッキングは、伊東勤から12球団一と評価されており、本塁突入するランナーを捕球後に、ベースを完全に塞がず、左足だけでブロックするなど捕球したから余分な動きがなく、ランナーと接触、交錯しても落球しないブロックの技術も高く評価されていた(現在でもルール上、ブロックが全くできなくなったわけではない)。
チームが大部分のシーズンでBクラスであったこと、投手のクイック、牽制にも関係するので、捕手の肩が全ての要素ではない盗塁阻止率が、規定試合数を超えたシーズンでの4割超えがなく、2割前半~3割前半を推移していたことから、これまで一度も受賞したことがなかった。
今回、優勝したことと、失策1、昨年規定試合数未満で盗塁阻止率.438の小林が.356と高い阻止率にならなかったことにより、初受賞になったと考えられる。
菊池は、内野のシーズン捕殺数歴代第1~3位を独占し、守備そのものも多数のメジャーからも評価され、黒田曰くメジャーでもあの守備は見たことがないという。Uzr17.3は、12球団の内野でナンバーワン。どこに送球するかを考えたプレーも評価される。前後の打球の処理も巧いし、投手がグラブに当てて打球の方向が変わっても無難にさばく。併殺参加102、守備率.995もセリーグ1位で4年連続の受賞。
丸は、2失策したものの、刺殺数284は外野手3位。Uzrは、11.8で外野手ナンバーワン。高いバウンドからの捕球は、窮屈な処理になるので、一度肩を上げてからの送球が難しく、それでは間に合わないので、全く痛くないということはないであろうが、肩、肘の故障があったかどうかは、言い切れないが、もし、故障があったのであれば、回復に努めてもらいたい。
赤松のように、ダイビングしなくても捕球できるようにしたり、長打を単打にする打球処理が向上すれば、もう1ランク上の外野手になれる。
鈴木誠也は、ライトで2失策、RF(試合換算)で1.68とそれほど高くないが(右中間の打球は、センターが優先されるというのもある)、Uzrは、10.3と外野手リーグ2位。
外野手は、守備位置が考慮されないので、刺殺286で外野手2位(一位は300の大島)、失策0の坂口が選ばれると思っていたが、レフト、センターに比べ3塁への距離が遠いライトでありながら、捕殺が3(坂口は9)と進塁抑止を数多くしたという点が評価されての受賞となった。
来季は、失策0にしましょう。
他のポジションを見ると、
投手は、防御率1位、守備機会48は、リーグ1位の菅野が受賞。
一塁は、失策2(新井は、5)、Uzr7.9(新井は、-2.2)のロペスが受賞。
遊撃は、田中が全試合フルイニング出場で、467捕殺(リーグ1位)、併殺参加97(リーグ1位)であったが、失策18。Uzr4.1。
正面に入り過ぎたり、基本に忠実過ぎるところがあり、送球までに余分な動きがあるので間に合わず、膝を強く曲げて構えすぎているので(菊池は膝をルーズに構える)、前後の打球に課題があると思う。菊池のようにグラブを出すのは最後の最後でいいと思う。
坂本は、131試合で、405捕殺、失策16、併殺参加91だが、Uzrが菊池に次ぎ、15.1。坂本が初受賞となった。
マツダスタジアムは、工場で生産した芝でなく育てた芝なので、また、捕殺数からしても、いきなり、梵の7失策まで減らすのは難しいが、来季は、12~14ぐらいに抑えたいところだろう。
三塁は、143試合で、15失策、Uzr-13.2は、リーグ最下位だが、捕殺241、併殺参加22がトップの村田が選出された。
石原と鈴木は、賛否両論あるが、概ね、妥当な選出であったと思う。