不動のNPBのエース森下暢仁のピッチング

2021レギュラーシーズンの開幕投手は、既に大瀬良大地であることが確定している。佐々岡自身は、開幕戦は、1/143にすぎないと解しているのだろう。そうだとしても間違った解釈であるとは言えないであろう。また、佐々岡自身、中日打線よりも阪神打線に価値を高く付しているのであろう。私の中では、広島東洋カープのエースは昨シーズン開幕前から森下であるとしているが、佐々岡自身も森下が広島東洋カープのエースであると解しているのは間違いない。
森下ほど、完全にオーバーハンドに近くで投げられる右投手は、過去の日米プロ野球においても、減殺の日米においてもいないであろう。
新人であった昨シーズンは、大瀬良大地、菅野、野村祐輔、小川泰弘の新人のシーズンと比べると投球動作の面で圧倒している。
ウィークポイントも全くないわけではないが、個々のプロセスにおいて、パーフェクトインサイドアウトスイングとの乖離は、相対的にも絶対的にも極めて小さい。現段階でもメジャーでやれるであろう。NPBのエースは、千賀でも、山本由伸でも、菅野でもなく、森下である。タイトルにもその文言を使ったが、WBCやオリンピックの日本代表には絶対に召集してはならない投手である。松田元がタダ働きをさせて他人資本に利潤を産み出すことの犠牲にはなってはならない。

投球動作

森下は、大学のときは、前足首を底屈した後の、前足首の背屈(前膝を使ったブロッキング)が課題であった。
プロ入りした当初も、セットアップの段階(静止の段階)で、左足のスパイクの内側で地面を噛ませており、後ろ足の踵で地面を真下に蹴り、前肩がわずかに背骨の内側に動いた。オープン戦でソフトバンク打線に打ち込まれた。
森下は、従前から、トップハンドの前腕部を回内してセットアップを解いたときも、回外してセットアップを解いたときも投球腕の前腕部は、後ろの骨盤を越えることはない。ピアースジョンスンと同じく左膝下から左足踵を打席に向けて前足首を背屈。トップハンドの親指をしならせる間を作る。これは、小園や鈴木誠也の第一次ヘッドステイバックと共通する動きである。
トップハンドの前腕部を回内してセットアップを解いたときの投球肘のヒッチは、トップハンドの前腕部を回外してセットアップを解いたときと比べると小さかった。後ろの骨盤の前で、回内した前腕部が止まり(肩関節の外転、逆L)、投球腕の上腕部を外旋。ここが投球肘のヒッチのMaxであった(ボトクハンドの前腕部は回内、前足首が底屈)。そこから、投球腕の前腕部を回内、ボトムハンドの前腕部を回外した。更に、投球腕の前腕部を回外、前足首の背屈をした。
開幕までに、セットアップの段階で、左足の小指球にウェイトをかけた。後ろ足の小指球でも拇指球でも地面を後ろに蹴らないところは維持。チェンジアップ、フォーシームを投げるときもトップハンドの前腕部を回外してセットアップを解除した。後ろ足に回転軸ができることを防止した。トップハンドの親指をしならせる間ができ、親指の基節骨でボールを叩くことで波動を産み、トップポジションに入る間ができる。前肘が背骨の方に入る間ができない。ボトムハンドの前腕部を回内する間ができない。回内したボトムハンドの前腕部で弧を描いたり、前肘を抜かなくてもトップが入れ替えられる(トップハンドの小指が投球肘の後ろに来る)。

投球腕の前腕部を回内したときも、ボトムハンドの肘を畳まずにボトムハンドの前腕部を回外していたのを、ボトムハンドの肘を畳んで回外した。前足つま先の加速にブレーキがかけられるようになった。トップハンドの前腕部を回外してトップハンドの肘をトップハンドの手首の前に出したときに、前足首を完全に背屈できるようになった。前足つま先が加速しなくなった。
両股関節をぶつけたときに前足の親指が底屈する。以前は、トップハンドの親指の基節骨を加速させたとき親指のしなりが解けてしまい、前膝が前足の爪先の前に出てしまうことがあったが、それが激減した。森下のストライドは、6足分である。
そのときは未だ、カーブを投げるときは、両肘を伸ばしてから、トップハンドの手首を背骨の方に引いて(コック)してセットアップしていた。前肩が背骨の方に入った。後ろ足踵にウェイトがかかった。トップハンドの前腕部を回内してセットアップを解いてしまった。トップハンドの前腕部を回外して投球肘を前に出したときに、前肩が開く。投球腕の前腕部を回内(リリース)したときに、トップハンドの親指のしなりが解けて、投球腕上腕部が凹んだ。トップハンドの中指でボールの外側を縦にこすりきる(投球腕の前腕部の回外)ことができず、投球をワンバウンドさせることが多かった。セットアップのときのコックをやめてからは、トップハンドの前腕部を回外してセットアップを解除できるようになった。
現在、ワインドアップをしたときに後ろ足に軸ができることがある。トップハンドの前腕部を回外してセットアップを解いて(投球肘のヒッチ、後ろの股関節の外旋)から、前足の小指球で地面を蹴っても、二段モーションで投げると、投球腕の前腕部を回内して前足首を底屈した後、トップハンドの親指のしなりが解ける。トップハンドの中指が加速せず、トップハンドの前腕部を回外する前に、2回目の前膝のレッグアップを行ってしまう。後ろ足の踵にウェイトがかかってしまうことがある。後ろ足の拇指球にウェイトが移って、前足つま先が加速し、トップハンドの親指のしなりが解ける。トップハンドの中指の加速が遅れる。トップハンドの前腕部を回外し、再び、投球腕の前腕部を回内(リリース)したときに、トップハンドの親指のしなりが解ける。投球のシュート回転が増し、逆球になる。

各種データ(2020)

前足首を背屈し、右腕前腕部を回外したときにヘッドステイバックを大きくして投げるので、傾斜が急で地面が掘れにくいナゴヤドーム、京セラドームでの成績が良い。傾斜が急で地面が掘れにくいが、粘土の下がレンガが埋めてある東京ド-ムでは、左足踵、左足内転筋、側副靭帯、ローテカフの損傷が進むので投球成績が良くない。マウンドが掘れやすい甲子園での成績が良くない。黒土、粘土の割合が甲子園よりも多く、甲子園よりは掘れにくい横浜スタジアムのマウンドには対応している。傾斜の緩い神宮のマウンドには、対応してる。赤土で水分を含むと掘れやすいマツダのマウンドでの成績が良くない。

球種

フォーシーム Max 154km/h
カッター
カーブ
チェンジアップ

年度別通算成績

NPB