現状広島は、先発ローテ、リリーフ、特に僅差ビハインド、大量リードで投げるリリーフ投手の層が薄い。従前から再三言っているように、打線が火力不足である。
鈴木誠也は、すぐに100%広島を離れる。ピレラもメジャーに復帰するかもしれない。そうなると、ホームランバッターは小園しかいない。3~4シーズンの間に鈴木誠也の後釜を作り、それまでは外国人で凌ぐ。候補は、木下、持丸、石原貴規、しかし、候補の層が薄い。その間、リーグ優勝は難しくBクラス、しかし、鈴木誠也の後釜が完成したらリーグ優勝できる。
高橋昂也は、手術前と同じく、手首をヒッチして後ろの股関節を外旋してから右足で地面を蹴っている。投球腕は、手術前から骨盤の手前までに留めていたが、手術後もケムナのように全くといっていいほどテイクバックがないとまではいかないが、背中の方に投球腕を引かなくなった山本由伸よりは、ずっと投球腕を引かない。手術前と同じく、ゆったりと2回前腕部を回内して投球肘を担ぎ、リリースの瞬間、外国人投手のように前足首が背屈し、腓骨から前膝、内転筋が弓なりにしなる。
先発ローテに関し、来季以降の構想は、森下、高橋昂也の右左の両エースに、三番手九里、4番手大瀬良、5番手野村、6番手を中村祐太、床田、遠藤が争う、床田が2歩先を行くというものである。
広島東洋カープの補強ポイント
私は、ドラフト指名選手を決めるにあたっては、新人に100%打撃動作、投球動作が完成していることは求めない。修正するポイントのクリアに労力を要せずに、そこを修正することによって格段にサービスが向上することができる選手であることを要件にしている。
各球団、エースと4番のどちらに抜けられたら、戦力面でマイナスかというとエース。メジャー球団も含め、他球団もエース級はリリースしてくれない。肩肘股関節は損耗する。絶えず投手は補充していかなければならない。投手と野手であれば、プロ経験のない選手の獲得においては、投手が優先になる。
そのことを踏まえ、私であれば、今回のドラフトでこの選手を獲るということを述べたのだが、それは下記のとおりである。早川は、先発ローテ候補、井上朋也は、鈴木誠也の後釜候補である。大道は先発も抑えもできる。
1位 早川隆久(投手 早大)
2位 井上朋也(三塁外野 花咲徳栄)
3位 大道温貴(投手 八戸学院大)
4位 小林樹斗(投手 智辯和歌山)
すなわち、栗林よりも早川、井上朋也、大道に値段を高く付けろということである。
早川を大道より上にしたのは、私の来季の構想では、KJ(クリスジョンスン)が構想外なので、KJの後釜として即戦力になる投手が欲しかったからである。手術明けの高橋昂也に一シーズン2,500球~3.000球を投げさせることはできない。早川は、全く修正するところがないわけではなく、投球動作のレベルは森下よりも落ちるが、今の投球動作のままでも一軍で3点台中盤ぐらいの防御率は計算できる。大道は、始動を修正すれば、投球動作は、早川を凌駕する。大道がそのレベルに達するまで早川が必要だからである。
広島は、オークションで競合なしで栗林(トヨタ自動車)の交渉権を獲得、井上朋也を、ドラフト前、佐藤輝明を1位指名してオークションで阪神に敗れたソフトバンクに獲られてしまった。ドラフトはくじ引きではなく、オークション。しかし、1位入札は、一度に一人しか指名できない。
早川、井上朋也の両者に栗林よりも値段を高く付けておけば、少なくとも早川の交渉権は、獲れた。今回のドラフトは、失敗であっただろう。
ドラフト1位栗林良吏(右投げ右打ち 投手 トヨタ自動車)
栗林は、投球腕を背中の方に引かなくなった分、確かに名城大の頃よりは進歩している。しかし、打者は、後ろの股関節を外旋する間、トップポジションに達する間が作りやすい。ドラフト1位なので、2位以下の選手に優先して起用され、経済関係上やらかさなければ、数シーズン後、トレードに出されたとしても、自由契約になってとしても、引退後は、広島に雇用されるだろう。
仮に、1年目ローテーションに入れられたとしたら、坂本、丸、岡本、ウィーラー、ビシエド、大山、サンズ、ソト、オースティン、山田哲人、村上、交流戦で柳田、吉田正尚に少なくとも1本ずつ、打者によっては複数、本塁打を供給するだろう。私が監督であれば、栗林は、床田、中村祐太、遠藤と先発6番手を競争させる。
ドラフト2位 森浦大輔(左投げ左打ち 投手 天理大)
森浦は、左足のスパイクでエッジをかけ、左足の拇指球、右足小指球、左足母指球、左足踵の順で地面を蹴る。左腕は骨盤の横まで引く。前膝を落とした後、右足外踝をスクエアに骨盤の方に引いたとき、投球腕が前肩より下がる。このとき、二塁ベース方向に背骨がヘッドステイバックする。右足つま先で一塁側に蹴って頭を左足の上に乗せ手から右足を踏み出す。左肘を逆Lにしたとき、右肩甲骨周辺の筋肉が背骨の方に入る。投球腕上腕部を外旋しても、前肩を開かないと投球肘を推進できない。すっぽ抜いて投げる変化球は、ギアを上げたフォーシームと同じかそれ以上に投球肘が投球手の小指をリードし、親指をしならせる必要があるが、それができない。わかりやすく言うと手首が緩まずに前腕部が緩む。
前足首を背屈し、右膝で地面を蹴るのがリリースの僅かに後、大道ほどではないが、前膝が突っ張る。背骨と投球腕の交わり、コッキングの角度、指先の位置、左肘の高さを総合するとオーバーハンドに近いスリークォーター。私の中での価値付けは、フランスア、塹江には及ばないので、一岡、藤井黎來、高橋樹也、中村恭平と僅差ビハインド、大量リードの場面のリリーフのポジション争いにおける挑戦者である。
ドラフト3位 大道温貴(右投げ右打ち 投手 八戸学院大)
大道は、股関節を外旋する前のセットアップの構えは、前肩は若干、オープンで、右足はインエッジでプレートとほぼ平行。すなわち、投球肩の方が前肩よりも若干上げっている。で地面を蹴ってから後ろの股関節を外旋、後ろの股関節を外旋すると前肩がスクエアになる。島内、高橋昂也と同じくテイクバックは、骨盤の手手前で留め背中の方に投球腕を引かない。ここがストロングポイントの一つである。右肩関節を外転してスクエアのまま、左肘、左膝を出す準備をする。Cアーチが崩れないので、右肘をつまみ上げたとき右肘でスクラッチするとフランスアのように両肩甲骨がぶつけることができている。二度、右腕前腕部を回内して前肩を投球肩より下げ両肩峰をぶつけて投げる。
リリース直後に左足首を背屈し、外国人左腓骨から左膝、左内転筋が弓状にしなる。
大学での成績は、高橋優貴(現巨人)に及ばないが、投球動作の水準は、大道の方がすっと上。
セットアップのときの前肩のオープンスタンスはそのままで、ウェイトをもう少し前足に乗せて右腹横筋を脱力する。それにより前足で地面を蹴る前に右手首をヒッチできる。前足で地面を蹴る前に右股関節を外旋する。リリース前に左膝が弓状に突っ張る、左股関節が引っ込み、右手の指先がしなる。
この投手は、一位で他球団に獲られるかもしれないと思っていたので、三位で捕れたときは、笑いが止まらなかった。
ドラフト4位 小林樹斗(右投げ右打ち 投手 智辯和歌山)
小林は、セットアップのとき、前肩がオープン、後ろの股関節外旋後は、骨盤が前傾する。髙橋宏斗は、大瀬良、床田、岡田明丈と同じく、股関節が損耗しているのだろう、セットアップのとき、前足よりも後足のに小指球にウェイトが乗っている。前足で地面を蹴る間ができる。背骨が一塁側にヘッドステイバックする。故に、肩関節の外転のときに、右足小指球にウェイトがかかってしまう。背筋又は前肩を引く動作を使わなくても後ろの股関節を外旋できる、股関節の余力がある、始動の改造に髙橋宏斗ほど労力を要しない分、小林の方を選んだ。
ドラフト5位 行木俊(右投げ右打ち 投手 徳島インディゴソックス)
行木は、セットアップのとき、前肩はややオープン、しかし、前足よりも後足にウェイトがかかり、右膝が右足のつま先の前に出ており、両肩がフラット。ヒッチせずに前肩の左右の出し入れで後ろの股関節を外旋できてしまう。
右足小指球、左足小指球、左足拇指球、右足踵の順で地面を蹴る。後ろの股関節を外旋すると前肩はスクエアになる。前膝を上げると、骨盤が後傾し、背骨が一塁側にヘッドステイバックする。前膝を下ろすと右足小指球にウェイトがかかる。後ろの股関節が荷重されるので、後ろの股関節の外旋が難しい。前膝で地面を蹴れれば右肘をつまみ上げたときに両肩甲骨がぶつかる。しかし、右肩関節以降、トップポジションまで急ピッチで達しなければならない。加えて、左肩甲骨周辺の筋肉がヘソの方に入り、右腕を背中の方に引く。
右腕上腕部を外旋しても前肩を開かないと、右肘が推進できない。リリースの後で左膝で地面を蹴る。現在の投球動作では、ファームの試合を成立させ、数シーズン後には、再び独立リーグに戻ることとなるだろう。
ドラフト6位矢野雅哉(右投げ左打ち 内野手 亜大)
矢野は、セットアップのとき、骨盤を前傾、ヘッドを45度にして構える。バットは短く持つ。右足のスパイクの外側で地面を蹴ってからヒッチして左股関節を外旋、骨盤が前傾したまま背骨が捕手方向に傾く。但し、右腕上腕部が背骨の方に入るので、小園や王貞治と異なり、ヤクルト青木と同じく左膝が屈曲する。前膝で地面を蹴って両肩がフラットになる、押手の肘で水平にバットを運ぶ日本式のレベルスイングであるが、ドアスイングで骨盤が浮いて前肩が上がる。わかりやすく言うと、投球と打撃の外旋する方の股関節が逆の右投げ左打ちが産み出す、フォロースルーの動きがあっち向いてホイで、打球の5割以上が中堅から左に飛ぶ青木、宇草、松山のハイブリッド型の選手である。
育成1位 二俣翔一(右投げ右打ち 捕手 磐田東)
二俣は、捕球の直後、左足首を底屈しているが、左膝が屈曲して左足のつま先の前に出て後ろの膝が伸びる。両肩がフラットになる。左足をシャッフルしてから手首をヒッチする。前膝で地面を蹴って左股関節が引っ込む。右肘でスクラッチする間ができ、両肩甲骨をぶつけることができ、上腕部の外旋、前腕部の回内ときて、右肘、右手小指の順で前に出せている。投手をやっていただけあって右肩関節外転後のスローイングは、ドラフト前の比較では中村奨成、石原貴規よりもいい。スローイングの始動が拙いのは、捕球に課題があるから、具体的には後ろ股関節を外旋して待って捕ることができず、引手主導で捕球しているからからである。
打撃では予備動作でコックをする。すなわち、ヘッドがホームベース方向に倒れる。前足のキックと右股関節の外旋は同期しているが、ヘッドを背骨方向に引き寄せるので、前肩が背骨の方に入る。前肩を開かないと右肘を推進できないからドアスイングになる。
総括
今回のドラフトの結果を大部分のカープファンは、喜んでいるようであるが、今後7~8シーズン後、一軍に残ってい得る選手は、肉体の損傷が進まなければ、大道、小林、努力次第で二俣であろう。確かに、どのような手段を使っても、井上と早川の両方の交渉権獲得は難しかったことは否めなかった。3~4シーズン後に低迷を脱しリーグ優勝の常連となるというノルマの達成が延期された。
唯一の野手である矢野も規定打席ベースで.270 12本 55打点レベルの金太郎飴倶楽部のメムバーを増やしただけである。支配下選手の枠に空きを一つでも多く作り、トレード、新外国人獲得スペースを作って当座を凌ぐということができなくなった。