Last Updated on 2023年3月8日 by wpmaster
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今季の大瀬良大地
今季の大瀬良は、2シーズン半振りに先発に本格的に復帰。
リーグ優勝にも貢献した。
24試合(全て先発) 10勝2敗 勝率.833
2,466球 打者 617人 145回2/3 被安打143(内被本塁打12本) 奪三振109
四死球44 68失点(59自責)
防御率 3.65
中5日が2回、それ以外は、登録抹消期を除き、中6日で登板。
二軍で中継ぎ登板して中3日で、一軍で先発したことがある。
1試合 最多投球数 121球
1試合平均 102.75球
しかし、勝率の割に防御率が優秀とは言えず、シーズン終盤には、二軍落ちもした。岡田同様、40球を超えた辺りで、崩れ始めるピッチングも何度か見受けられた。
大瀬良のピッチングの課題は、どこにあるのだろうか。
早速、見てみよう。
良いパフォーマンスを産み出さない投げ方
右足は、拇指体重ですが、踵にも重心が残っています。
それなりに右足は蹴れます。
ヒップファーストで重心移動していきます。
ここでは、未だ、左足のくるぶしを本塁方向に向けています。
骨盤が3塁側に滑ってしまっています。
これも、後に右肩が凹む原因の一つになります。
右股関節を二塁方向に内旋します。
左足のくるぶしが一塁線方向に向いてしまています。
左膝を体の方に蹴り戻しているので、左足で弧を描いていませんが、左膝が開き始めていきます。
グラブを持つ手の肩は、まだ残っています(内旋した状態になっている)。
この段階では、未だ、後ろの骨盤を打者に隠せています。
右大腿骨を骨盤に突き刺します。
右足を蹴り始めるときに、腸腰筋は外旋していませんが、右股関節が外旋してしまい、左膝が開いています。
右股関節にタメがないということです。
左肩も開いてしまっています。
右腕をつまみ上げます。
左足は、踵から着地しますので、肘の位置は上がり、縦回転の球が投げられます。
着地したときに、右腕のトップが完成します。
左膝は、垂直に曲がらずに後方に伸びています。
左膝のタメがありません。
胸こそ打者の正面に向けていませんが、トップを作るのが遅れています。
ボールを握る手が頭の後ろに隠れ切っていません。
着地の衝動で、右肘の靭帯を故障しやすくなります。
胸の張りを作りますが、胸の張りは、他の投手と比べ、大きくありません。
ヒップファーストの投げ方とも関係しています。
三角筋を使って、右腕上腕部を後方に引っ張ります。
リリース直前では、右肘は上がって、右肩も凹んでいませんが、股関節の外旋が早かったので、右肘の曲がり方がスリークウォーター(45°)に近くなっています。
リリースのときに、右肩と右腕上腕部が凹んでいます。
頭も前に出されています。
右肩を損耗している投げ方です。
右肩がロックされて、股関節の外旋が早かったことにより、静止せずに外旋していき、左膝も開いて右肘も伸びていってしまっています。
これだと、ボールがシユート回転(失速)してしまいます。
右腕前腕部を内旋しますが、重心が三塁側に残り、股間から下が台形になっています。
フォロースルーの通路をふさいでいるので、右腕を振り切ることができません。
若干、問題点が少なくできている投げ方
プレートは、中央より、やや一塁側で踏んでいるので、縦回転の球が投げられます。
右足は、拇指体重です。
踵にも重心が残っているので、瞬発力を消耗することなく右足を蹴れます。
グラブを骨盤の当たりまで下し、瞬発力による体への負荷を解いて脱力します。
重心を落とし、ヒップファーストで重心移動をしていきます。
グラブを持つ手の肩を内旋しています。
左足を体の近くに蹴り戻していきます。
左足のくるぶしを本塁方向に向けています。
しかし、腰が三塁方向に滑ってしまっています。
右足のスパイク内側でプレート周辺の地面をかませられていないので、右肘が伸び切ってボールがインハイに外れたり、ボールを引っ掛けてアウトローに外れたりします。
これは、ヒップファーストの投げ方とも関係しています。
グラブを持つ手は内旋できているので、両肩甲骨をぶつけることができています。
右肘を伸ばし、右手首を最大限まで内旋します。
アーム式に近くなっていますが、やや右肘に負荷がかかっています。
両肩は、ほぼ水平になっています。
やや右肩が上がっているので、右肘が上がらなくなり、縦回転の球を投げるのを妨げます。
これで、右肘まで上がってしまうとルーズショルダーになりやすくなりますが、
右肘は、右肩よりは上がっていません。
右足を蹴り始めたとき、左足のくるぶしは、辛うじて本塁方向に向けています。
右肩を内旋し、プレートにかけた右足から、右腕の先まで、Cアーチができています。
左足は、左足のスパイクの踵を含む内側から着地していくので、縦回転の球が投げられます。
右股関節の外旋は、未だ始まっておらず、内旋しているので、後ろの骨盤も打者に隠せています。
少し骨盤の三塁側へのスライドを修正できています。
右大腿骨を骨盤に突き刺します。
両肩甲骨を剥がしていきます。
左肩が少し開いているのが残念です。
トップを完成していくまでの過程の絵です。
トップを作り、外旋に移っていく通過点の位置ですが、ボールを握る手は、耳の近くになっていますが、前腕部が上腕部の延長戦で垂直に曲がらず、前に(三塁側に)倒れています。
右腕前腕部が後ろ(一塁側)に倒れているとトップの完成が遅れ、内旋がタイトになっているということですが、三塁側に傾いていると胸の張りが作れずに、
右肩が突っ込んで右肘が出てこなくなり、リリースが遅れるのではないでしょうか。
一応は、胸の張りを作って、三角筋を使って、右腕前腕部を後ろに引っ張っています。
リリースのとき、辛うじて右肩~右腕上腕部が凹むのを抑止できています。
一塁側に上体を傾け、右肩は、キャッチャーミットの方に向いています。
よって、もう少し首を上下に振れると瞬発力がボールに伝わった球が投げられます。
右腕の前腕部を内旋し、左膝を上方に蹴り伸ばしていきます。
左膝が完全に伸び切らない内に、左膝を曲げ、左足一本で前にジャンプします。
これでは、瞬発力が消耗してしまいます。
右足を左足の前で通過させて、一塁側にターンします。
上体は、一塁側に傾けていますが、左膝が曲がっています。
各種成績
コース別成績
右打者
左打者
ある程度目線から離れた、振り下ろすという対応のしやすい真ん中高めのゾーンは、右打者、左打者とも打たれている。
右打者については、右肘がロックされ、バットとボールの距離が取りにくいアウトハイを、ほぼ完璧に封じている。
左打者には、後ろの股関節で産み出した瞬発力をバットに伝えやすいコースであるインローを打たれている。
右打者、左打者の真ん中低め、左打者のアウトローの球に打者が体を前に出されていないのは、投球のステップの際の左膝の開きによるものと関係しているだろう。
球種別成績
①ストレート 268-70 .261 5本
空振り率 5.76% 見逃し率 17.19%
ストレートのMaxは、150km/h(先発)
②カットボール 149-40 .268 3本
空振り率 13.65% 見逃し率 14.68%
カットボールには、フォーシームより失速の小さいものと、縦に落ちるものとがある。
③スプリット 70-17 .243 1本
空振り率 13.68% 見逃し率 3.42%
④スライダー 56-10 .179 3本
空振り率 14.60% 見逃し率 23.69%
④カーブ 16-5 .313
空振り率 4.08% 見逃し率 9.18%
⑤チェンジアップ 2-1 .500
空振り率 0.00% 見逃し率 0.00%
ア ウ ト の 内 訳
内野ゴロ 136
犠打 10
併殺による増加分 10
内野フライ 73 (3バント失敗1含む)
外野フライ 92
犠飛 2
捕殺によるもの(内安打3) 6
三振 108
合計 437
内野失策 8
野選 2
フライアウトの内、ファウルフライ 25
437-108+8+2=339
フィールド内に飛んだ安打以外の打球の内、ゴロアウトの割合は、48.3%(=156/339)。
フェアゾーンに飛んだ安打以外の打球に限ってみると、ゴロアウトの割合は、52.3%(=156/339-25)で、どちらかというとグラウンドボールピッチャーである。
主な打者との対戦成績
マギー 10-5 .500 1本 1振
坂本 12-5 .417
阿部 12-4 .333 1振
村田 6-2 .333 2振
小林誠司 8-2 .250 1本 1振
長野 8-1 .125 1本 1振
坂口 11-6 .545 1本 4振
藤井亮太 6-3 .500
バレンティン 9-3 .333 1本 4振
山田哲人 11-1 .091 4振
中村悠平 10-3 2振
大引 5-1 .200 1本
ウィーランド 4-2 .500 2本 2振
ロペス 8-3 .375 2振
筒香 8-2 .250 1本 1振
宮﨑 5-0 .000
桑原 10-0 .000 4振
戸柱 8-2 .250
梶谷 6-1 .167 3振
倉本 6-2 .333
藤井淳志 10-4 .400
ビシエド 8-3 .375 1振
京田 15-5 .333 3振
ゲレーロ 11-3 .273 1本 5振
大島 12-2 .167 2振
福田 7-2 .286 2振
鳥谷 15-6 .400 1振
福留 12-3 .250 1本
梅野 11-3 .273 2振
上本 9-2 .222 2振
大山 8-1 .125 4振
中谷 10-0 .000 4振
西岡 7-2 .286 1振
大和 7-2 .286 3振
秋山 2ー1 .500
金子侑司 2-2 .1000
レアード 3-2 .667
中田翔 3-0 .000 2振
大田 3-0 .000
西川遥輝 3-0 .000
ロメロ 3-1 .333 1本
Tー岡田 3-1 .333 1本
球団別成績
巨人 4試合 2勝1敗 26回 10自責 防御率 3.46
ヤクルト 4試合 2勝0敗 24回 10自責 3.75
DeNA 3試合 0勝0敗 18回 6自責 3.00
中日 5試合 1勝1敗 27回1/3 17自責 5.60
阪神 5試合 3勝0敗 31回2/3 10自責 2.84
西武 1試合 1勝0敗 5回 0自責 0.00
日本ハム 1試合 1勝0敗 7回 3自責 3.86
オリックス 1試合 0勝0敗 6回2/3 3自責 4.05
月別成績
4月 4試合 1勝0敗 27回 5自責 防御率 1.67
5月 5試合 2勝0敗 28回1/3 13自責 4.13
6月 3試合 2勝0敗 20回2/3 6自責 2.61
7月 4試合 2勝0敗 24回2./3 9自責 3.28
8月 5試合 1勝2敗 26回1/3 19自責 6.49
9月 3試合 2勝0敗 18回2/3 7自責 3.38
※ゴロアウト割合以外のデータは、「データで楽しむプロ野球」を基に作成しています。
まとめ
大瀬良のピッチングについて、どうすれば、投球動作が改善するかをまとめで見ると次のようになるでしょう。
大瀬良は、左肩の負荷を解いて左肩を内旋すると、内旋している間をキープでき、左肩の開きが早くなるのを抑えられる。
ヒップファーストは、強いて修正する必要はないですが、
内旋するときに、右足のスパイクの内側でプレート周辺の地面をかませ、右股関節のタメを作る。
よって、右股関節の外旋を遅らせて、左膝の開きを抑止できる。
テイクバックのときの右肩の内旋がタイトなのでトップを完成させるのが遅れるので、岡田のように極端に右肩が下がるのは良くありませんが、若干右肩を下げて右肩の負荷を解く。
そうすることで、左膝のタメもでき、胸の張りを作れ、コンスタントに右肘が上がり、更に、右腕のしなりができ、縦回転の球が投げられるようになる。
頭が前に出されることも、右肩が凹むことも修正できる。
現在取り組んでいるステップ幅を狭めることも、右股関節の外旋を遅らせ左膝のタメを作り、胸の張りを大きく作り、右肘も上がり、左膝で壁もできる。
プレートの一塁側の方が打者の目線との距離はあるが、腕のしなりを作り、前でリリースする前を大きくする投げ方をすることで、リリースポイントと打者の目線を近付けることができるのだ。
フィニッシュで完全に左膝を完全に伸ばすことで、よりバックスピンのかかった球が投げられ、壁もでき、左膝の開きを修正できると共に、右足の一塁側へのターンもしやすくなる。
そうすることで、来季以降、パフォーマンスも改善されてくるでしょう。