比較投球動作解析論;藤井黎來、ロベルトコルニエル、ヘロニモフランスア

Last Updated on 2021年4月11日 by wpmaster

野村祐輔、今村信貴の両先発で始まった試合は、序盤から巨人打線が加点し、一方的なスコアとなりました。よって、SNS上では、コルニエルの投球に話題がシフトしました。
ここ数回は、ケース打撃について書いてきましたが、今回は、投球について書きます。

藤井黎來

藤井黎來は、ボールを中指の基節骨、薬指、小指の付け根でボールを握る。ケムナ並みにテイクバック(投球腕前腕部を骨盤の方に引く動作)を極小にした。トップを入れ替えてセットアップを解く。前足小指球、右足踵の順で地面を蹴る。投球肘がヒッチする。右肩が左肩よりも下がるレンジも小さくなっていない。昨季までは、岡田明丈と同じく右腕前腕部を骨盤の横まで持ってきていたが、現在は、右腕前腕部を回内するや否や骨盤の手前で右肘をつまみ上げる(親指の末節骨でボールを叩く)。人間は、後ろの股関節を前の股関節から剥がすと右腕前腕部が回内(リリース)する。前足首は背屈する。投球腕の前腕部を回外する(フォロースルー)と前足首が底屈する。藤井黎來は、フォロースルー期に前足首を背屈して、左足小指球、右足拇指球で地面を上に蹴って両足をシャッフルしている。リリースの瞬間以外は、昨季よりも格段に脱力できている。
御用学者と野球指導者の間で通説化されていますが、実際には、後ろ足に回転軸が出来て、前肩の閉開という横の動きが加わりますので、実際には、投球の回転数は、セットポジションで投げるよりも落ちます。
遠藤淳志のように投球腕の前腕部を背骨の方まで引く投手が好きなオールドファンは、藤井黎來の新しい投げ方に価値を高く付けないでしょうが、私的には、藤井黎來は、昨季よりも進歩したと思います

ロベルトコルニエル

コルニエルは、左足小指球又はスパイクの外側の踵寄り、右足小指球の順で地面を蹴ります。ボールを人差指、中指、薬指の付け根で握ります。トップを入れ替えずに(右腕前腕部を回内したまま)セットアップを解きます。投球肘のヒッチの幅が小さい。コルニエルのフォーシームは、ストレートチェンジの握り方で、投球の軌道を動かしています。記録員は、機械を稼動して機械に投球動作と併進させ、機械の進捗に価値を付けます。コロニエルのフォーシームは、158~159キロを記録しますが、シンキングファストボールです。
コルニエルは、ジェイジャクスンと同じアーム式に近い投げ方をします。投球腕の上腕部を外旋したとき、戸郷と同じく、アーム式でない投手よりもトップハンドの手首と頭が離れます。コルニエルは、右足の小指球又は拇指球で地面を後ろに蹴ります。左足の親指が加速します。左腕前腕部を回外、右肘をつまみ上げた後に、右腕上腕部の外旋の中途で右腕前腕部を回内し、左肩が併進するのにブレーキをかけます。両肩がM字になります。両肩甲骨がぶつかりません。後ろ肩が残りません。投球腕の上腕部、投球肘でボールを引き付けられていません。ここがフランスアとの違いが大きい部分です、コルニエルは、トップを入れ替えたとき(投球腕の前腕部の回外)に、トップハンドの小指が加速しません。トップハンドの小指のしなりが解けてトップハンドの小指が打者の方に向きません。トップハンドの小指と投球肘が並びます。投球する掌が打者の方を向きます。栗林も同じです。ここもフランスアと異なるところです。最大外旋位のところでは左膝は完全に突っ張りません。トップハンドの親指がしならないので、親指の腹でボールを叩くと、人差し指の付け根がボールの上に被さり、ボールを引っ掛けます。リリース瞬間は左膝は突っ張りますが、すぐに前膝の壁が崩れます。左足拇指球を支点に左足踵をヒールアップして右足をターンします。コルニエルは、左足、右足で地面を蹴ってからトップを入れ替えないで投球肘をヒッチします。親指、中指、小指をしならせトップを入れ替える間が短いので、高橋昂也、フランスア、藤井黎來と比べると、力感があると錯覚します。高橋昂也、フランスア、藤井黎來と比べると初速と終速の差が大きいので、打者はフランスアほど速くないと錯覚し、フランスアほど価値を高く付けないでしょう。個人的には、コルニエルは、後ろ肩が残らないので、アウトハイもインハイのベルトの上下も、フランスアほど速い球を投げられていない、タフな投球を投げられていない、という価値を付けます。私だったら、コルニエルは先発で使います。
コルニエルは、クイックが上手くないということは前回書きました、それでは、走者がいる場合でもワインドアップで打者を打ち取ることに一本化すればよいのでしょうか。
ワインドアップで投げると、セットポジションで投げるよりも、回転数の多いフォーシームが投げられるというのが、御用学者と野球指導者の間で通説化されていますが、実際には、後ろ足に回転軸が出来て、前肩の閉開という横の動きが加わりますので、実際には、投球の回転数は、セットポジションで投げるよりも落ちます。打者は、トップポジションに入り、トップを入れ替える間がゆったりとできます。私は、全投手、走者の有る無しに関係なくセットポジションで投げることを推奨します。コルニエルは、先発で投げるにしても、リリーフで投げるにしても、クイックでアーム式でない投げ方の練習が必要不可欠です。

ヘロニモフランスア

フランスアは、フォーシームは、人差し指と中指をくっつけ、中指の基節骨、薬指の付け根で握ります。スライダーは、人差し指の第二関節を曲げて中指の基節骨、薬指の付け根でボールを握ります。ツーシーム、チェンジアップは、コルニエルと同じく、人差し指の付け根中指、薬指の付け根で握りますが、人差し指は、人差し指の付け根の内寄り半分にボールを接触させる程度です。フランスアは、前足の小指球、後ろ足のスパイクの内側でエッジをかけ、トップを入れ替えて(投球腕の前腕部を回外)してセットアップを解きます。前足小指球、右足踵の順で地面を蹴る。投球腕の上腕部を外旋(トップポジションに入る前)に後肩が残ります。投球肘でボールを引き付けています。両肩甲骨がぶつかります(ボトムハンドの前腕部は回外)。フランスアは、トップを言え替えたときにトップハンドの小指が打者の方を向き、トップハンドの小指は投球肘の後ろに来ます。最大外旋位のときに、前膝が突っ張ります。フランスアは、フォロースルー期に前足首を背屈して後ろ足をターンした後も前膝の壁が崩れません。