バティスタとの育成契約について

Last Updated on 2017年12月12日 by wpmaster

バティスタが234万円で広島と育成契約をした。

まず、第一に感じたのは、そりゃないだろ。

プロで1球も投げていない、一打席にも入っていないのは、日本国籍の新人選手も海外出身の選手も同じ。

二軍戦もエンターテインメントである。二軍選手も野球の専門家である。

どちらも試合に出れなくても試合に出る準備はしているのであって、遊んでいるのではない。

にもかかわらず、年俸は、日本国籍の高卒選手の1/3ー日本国籍の育成選手も更に低いとすれば、それも併せて問題にしなければならない。

これでは、用具の一部は球団から支給されるとはいえ、野球に金をつぎ込めないだけでなく、日常生活も満足に生活できない。

仮に伸び悩んだとしても、結果が出なかったとしても、FAで国内他球団に移籍しようと、メジャー移籍への踏み台にしようが、選手に融資の形をとっている人達は、選手が働いてくれるおかげで生活できるわけだし、結果がでなくても破産することはない。分け隔てなくきちんと給与(法律上は報酬だが)を払って欲しい。

素人が投げられない球を投げる、素人が追いつけない打球をアウトにする、素人にできない捕殺をする、素人に打ち返せない球を安打にする。・・・夢を与えるプレーをするのがプロ野球選手の仕事である。

選手に最高の環境を用意して欲しいのだ。用意するのは球団に出資、融資の形を採っている者の義務である。

もし、他球団に移籍したら、一ライバルとして倒しにいけばいいだけ。その選手の実力次第では、厄介な相手となるが、ファンとしてはまた新たな楽しみが増える。

他球団の方が魅力がある、他球団の方が出番がある、カープが弱いからというのはやむを得ない。

ただ、ファンとしては、金銭面で揉めて移籍というのは見たくない。

自分が10代の頃は、佐伯対高橋里志、江夏対高橋直樹、水谷対加藤英司、更に数年して髙橋慶彦、白武対水上、高沢といった大型トレードがあったが、70年代後半から90年代トレードといえば、セリーグとパリーグの間が主で、同一リーグ間の大型トレードというのは、西本対中尾、カープでいうと、長島対音。山田和利、紀藤対鶴田、近年でいうと、青木対小野などがあったが、少なかった。

最近では、大竹対カープ打線、前田健太対新井、黒田対シーツとか、見ていて楽しむことができたし、公式戦での黒田対新井を見てみたかった。黒田には、末永く1メジャーで活躍し骨をうずめて欲しいと当時は思っていたので見れなかったのは残念とまではいかないが、新井のFA取得が1年早ければ見られたかもしれないという程度であるが(勿論、当時も新井はカープにとって必要な選手ではあったが)。

ペレス、ソリアーノがメジャーで成功したことや、成功はしなかったが、チェコがメジャー昇格したことは純粋に嬉しかった。

勿論、黒田がメジャーのローテーション投手として活躍する姿に喜びを感じたのはいうまでもない。

今年退団した選手も、前田健太だけでなく、ヒースやシアーホルツ、ロサリオ、グスマン、ザガースキーも成功して欲しい。

バティスタやメヒアも将来どうしたいのかはわからないが、彼等にとってベストな人生を歩んで欲しい。

今シーズン終了後のメジャー復帰をK.Johnsonも既に表明しているが、移籍先が決まったら祝福したいと思う。

カープの若手投手が一人でも多く、先発、リリーフに台頭し、飛躍の足がかりとなる成績を残して、黒田が引退し、ジョンスンがメジャー復帰した後も、一歩、一歩、強くなっていく過程を見せて欲しいものです。

[追記]

育成契約の最低年俸は230万
(尚、支配下の場合は420万)
となっています。

また、昨年のドラフト後の契約状況を見ても、育成下位の選手で250万程度の選手はざらにいます。

昨年の育成ドラフトでもっとも高い年俸でもソフトバンクの2位、3位選手の400万円

他の育成選手はほとんど300~240万。

また支配下ドラフトでも下位指名は400~500万の選手もいる。

新人以外の育成選手には700~800万ほどもらっている選手もいる。

そういった選手は支配下から育成に切り替えられた選手。

1/3というのは、2015年度高卒新人29人の平均値623万円との比較です。

[追記]

野球に必要な用具はほぼ球団から支給され、シーズン中は寮生活になりますので食事も無料で3食つく。

しかし、これだって現物給与だ。

確かに、バットやグラブは、ほぼ全額球団負担で、寮も食事もつくので生活できないことはありませんが、野球をできる体力を維持するだけの報酬で足りるかといえばそうは思いません。契約上は請負契約ですが、実際には、球団の決めたスケジュールに沿って他の選手と同じ時間拘束されて、移動して、個々の選手の長所短所によって内容に差がありますが一定レベル以上の練習メニューをこなすわけですから、成果を問わず、労働した分はきっちりと支払われる必要があると私は考えます。

[追記]

次にこのような意見があります。

アメリカに目を向けると2Aの選手で月給20万円くらいとのこと。

確かにマイナーの選手や日本でも育成選手の年俸は低いと思います。

でも、選手たちは何を考えて育成契約やマイナー契約してるんでしょう。

将来は1軍、メジャーと考えてではないでしょうか?

一般社会でも職人などは下積みはかなり厳しい条件です。

2まぁそもそもの育成契約が低額すぎるんじゃないか、というご批判は成立するとは思うのですが、あくまで比較して考えてみますと、

○ マイナーリーグ

・ 月俸制で球団側はシーズン途中に解雇することが可能
・ 最低月俸はリーグレベルに応じて9.6~24万円でリーグ開催期間中のみ支払う
・ 遠征中は上記に加えて1日$20(2300円)ほどを食事代として支給
・ 寮無しなので当然、食事もなし。洗濯も自分でやる
・ シーズン中は安ホテル暮らし(選手2人で1部屋に止まる)
・ オフは恋人の家などに居候。バイトもしないと生活できない
・ 外国人枠が存在しないので世界中から選手が集まってくる。競争が激しい
(参考:http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2013/06/23/kiji/K20130623006070280.html)

○ NPB育成契約

・ 寮あり。食事も3食支給。洗濯も球団がやってくれる
・ 雇用契約は1年ごとに更新なのでシーズン中に解雇されることはない
・ 遠征先の食事・止まる場所の確保も球団がやってくれる
・ 外国人枠があるのでMLBほどは競争相手が多くない

野球用具に関しては、必要な分はどちらでも支給されますが、自分専用にカスタムしたものを使いたい場合は別途費用がかかります。
マイナーが日本より良い点としては、練習施設はマイナー専用のものが数多く揃っていること位でしょうか(野球場が7面あったりとか)。

あくまで比較してみるのであれば、NPBの育成契約のほうがマイナーリーグより良い環境が揃ってると思いますよ。
そして競争条件は遥かにNPBのほうが緩いです。

最高の条件が用意されるのは、あくまで最高レベルの選手に限った話、というのはどの国でも共通するのではないでしょうか。
ハングリースポーツという側面があるからこそ、本物のスターが誕生するのだとボクは考えます。
上記の2つの見解について、私は、下記のように考えます。

下積みであろうと労働力を再生産せざるを得ない経済関係があります。そこに意思は介在しません。
よって、下積みであることをもって賃金を抑えてよいということを是認する理由はありません。
職人の世界のように下積み時代は厳しい世界はあります。しかし、それを望ましい例だとは思いません。マスコミは、それを美談として描きますが、現実は違います。私もかつて徒弟制度と呼ばれる職場にいた事がありますが、いかに自分を安く売るかという安売り競争をさせられて、その結果一番得をするのは顔も見たことのない働かずして生活している人たち(生活保護受給者のことではありません。)。すなわち、押さえつけられ、鞭を入れられ、休みなく働いて努力しても成果を出すまでは報われないから次々と辞めていくのです。「やりがい」や「出世」を拠り所にやっているであれば、趣味でやれば良いのであって、プロで野球をやっている以上は、金の問題は切実な問題だと思います。

より劣った条件の職場と比較してみたところで、選手間のパフォーマンスの安売り競争が助長されるだけなのです。やはり、二軍から一軍(アメリカでいえば、マイナーからメジャー)に登りつめていく過程においても、労働しても報われないとなると、何もよいものは生まれないと自分は考えます(モチベーションという点から言っているのではありません)。少ない収入の中で努力しても、現実を見れば、進歩的なプログラムのもと、バックアップに当たる人々の人件費も含め金をかけて休息を与えながら育成された選手にはやはりかないません。

[追記]

また、次のような意見もあります。

育成契約の選手、なかでも年俸の安い選手というのは球団がプロ野球選手として契約するほどの価値がないと判断したから育成契約なのです

それを二軍選手並みの待遇にしろといったら球団側としたらそれならいりませんとなるだけじゃないでしょうか
プロスポーツ選手は労働によって対価を得るのではなく結果によって対価を得ているのです

年俸以外で球団が選手にかけるお金は支配下登録の二軍の選手も育成選手も変わりありませんし、二軍選手の年俸では野球のためにお金を使えないのは同じです
【現実を見れば、進歩的なプログラムのもと、バックアップに当たる人々の人件費も含め金をかけて休息を与えながら育成された選手にはやはりかないません。】
この一文は間違っていると思います

これについて、私は、以下のように考えません。

選手には、価値は、備わっていません。

価値を付ける段階で、低く評価して利益を得ているのです。

プロ野球の年俸と呼ばれるものは、先行投資ではなく、報酬の前払いであります。前払いであるものの、返還不要であるが故にその金額が確定した段階で確定申告をしているのです。よって、例えば、.280 20本を打つこと及びぞれに至るまでのハードトレーニングに耐えられない野球の素人である報酬の支払い者が、自らに代わってハードなトレーニングをしてもらうわけで、仮にその数字をクリアできなかったとしても、報酬の支払を免れることや報酬をカットすることはできないでしょう。トレーニングの過程で使用した用具代も報酬の支払い者は負担しなければならないでしょう。そうでなければ、最低年俸という規制はないはずですし、実際に、成果に係る部分は、インセンティヴとして報酬の基本給相当分とは別途定められています。

[追記]

マイナースタートの選手とマイナー経験無しのエリート選手とは、やはり、給与の支払い者がかける金は、年俸以外の施設、指導者、トレーナー等の人件費に関するものについても異なるという意味です。