[ケーススタディ]ボークを取られる投球動作

Last Updated on 2023年4月11日 by wpmaster

日本ハム対広島2回戦は、万波の本塁打で日本ハムが先制。上原が93球投げて降板するという誤算が生じましたが、終盤、機動力を駆使して追加点を奪い、わが日本ハムファイターズが5-1で勝利することができました。

但し、万波は、リーチが長いからアウトローを本塁打できるのではありません。

万波は、右手親指、中指、小指の順にグリップを握ります。右手人差し指の指先はグリップに巻き付けません。

投手がセットを解く前に右手中指、小指の第二関節を内旋して右肘をヒッチします。右手親指がしなります。右手小指が立ちます。

左足がスパイクの外側から入射します。

右腕前腕部を回外し、右手中指、小指の第二関節を180°内旋して右手小指基節骨を投手方向に向けると再度右手親指がしなります。左股関節が引っ込みます。

右手親指のしなりを解く前に右肩が残り、右股関節が外旋しているので、右手親指のしなりを解くと右股関節が屈曲し、骨盤が前傾します。バナナカーブが急勾配になります。

インサイドアウトで振っているからヘッドが加速してアウトローに届くのです。

万波は、右手中指の第二関節に確りをグリップを嵌めてスイングしています。故に、右手親指でグリップを叩いた後、右腕の前腕部の深層屈筋が突っ張らないので、打球にスライス回転がかかっても、飛距離を産み出せるのです。

私は、コンテンツの中で構想は書きますが、予想はしません。このサイトは、予想が当たった外れたで一喜一憂するサイトではありません。

よって、野球関係者の未来に役立つプレーのみしか、評論しません。
日本ハム一回戦で、野球に関係する者にとって、学ぶところが多いプレーが生じたので、今回はそれについて取り上げます。

セットポジションにおける静止

床田(左投手)と柳(右投手)はボールを持つ間が短く、セットを解くので、相手打者は構え遅れます。

投手は、投球する手の親指、中指、薬指、小指の順でボールを握ると親指基節骨でボールを叩いた後、中指、小指の第二関節を内旋されますので、投球肘が下がり、更には、後ろの股関節が外旋します。最短でセットを解くことができます。

しかし、床田は、左手の中指、薬指、小指、親指の順でボールを握ります。左手の中指、小指の第二関節の内旋の後、左手の親指を叩くという動作を2回反復してから、左手の中指、小指の第二関節を内旋してセットを解きます。よって、床田は、セットを解くのが柳よりもワンテンポ遅れます。

打者は、投手がセットを解くのがワンテンポ遅れて構え遅れなかったことを、事後に奇貨としてグリップを握る順番を変えないと、より始動の早い投手に対して構え遅れます。事後に奇貨として思うのはいいんですが、打者も投手も、始動が早い対戦相手に照準を合わせて始動する体の使い方をするのが基本となります。その上で、ディレードスチールも、一見、基本を崩しているように見えますが、崩していないのです。

万波は、右手中指、薬指、小指、親指の順でグリップを握るので、最短でセットを解く投手と対戦すると構え遅れますが(=トップハンドの肘のヒッチが投手がセットを解いた後になる)、床田を対戦すると構え遅れません。

加えて、床田は、左手の中指、小指の第二関節の内旋の後、左手の親指を叩くという動作を2回反復するので、審判に静止していないという価値が付けられます。

プロ野球OBの中には、首から下を動かしたらボークを宣告されるから「首を走者の方に捩じって走者を牽制しろ」という方がいらっしゃいます。

しかし、首を走者の方に捩じれば、引手の肘、肩が投球肩の方に入ります。厳密に言えば、首を動かしただけでも、審判は、「ボーク」という価値を付けることができます。

投手は、投球腕の前腕部を回外又は回内してセットを解くのですが、前肘、前肩が投球方の方に入った後、ノンストップでセットを解けばテイクバックが広がってしまいます。

投手は、投球腕の前腕部を回内して投球肘を上げますが、投球腕の回外運動の回転半径が長くなってしまいます。ストライドも広がってしまいます。投球肘が加速しません。投球腕の上腕部の外旋運動が加速しなければ、投球腕の上腕部の内旋運動の加速距離が短くなります。よって、トップスピンもバックスピンも減じてしまいます。

首を走者の方に捩じったら、前足で地面を蹴らずに、セットを解かずに首を打席の方に向けなければ失速の少ない投球ができません。

セットアップの遅れによるデメリット

万波は、引っ張るスイングをすると、フライングエルボーのとき、頸反射します。左肩はホームベースの方に被さらず、開いてもいません。左肘が張るのも抑止できます。右足のスパイクの内側でエッジをかけてセットアップするので、ヘッドステイバックを2回行っても、右膝が外側に開きません。何れも、首がホームベース方向に曲がりません、右手親指のしなりを解く前に、後ろ肩も残ります。

ボークが産み出す実体関係

一死走者一塁のケースでは、一塁走者は、2wayリードを取りつつも、進塁が帰塁に優先します。

一塁走者の上川畑は、二塁ベースを蹴って、二三塁間のハーフウェイを進行しています。

左翼の中村奨成は、三塁側に背を向け、背走します。右足を回転軸にグラブの小指側で打球を叩いて、背骨の右側で捕球します。右手親指でボールを叩き、右手小指第二関節を内旋すると、右股関節がバックステップします。スタンダードWで右肘をつまみ上げると、両足がシャッフルします。

上川畑が二三塁間のハーフウェイから一塁に帰塁する前までに、送球が一塁に送球すればいいわけですから、一塁走者が二塁ベースを蹴る前までに二塁ベース上に送球を通過させる場合に比べると、トップを作る間がゆったりと取れます。

中村奨成は、最大外旋位から右手親指の腹でボールを叩く直前までの間に左股関節を戻すことができています。故に、右手親指の指先が加速します。

カットに入った菊池涼介は、一塁線に背を向け、左手小指第二関節で送球を叩き、背骨の右側で捕球します。ボールを右手親指の腹で叩いて、右手中指、小指の第二関節を内旋すると、右股関節がバックステップします。スタンダードWで右肘をつまみ上げると両足がシャッフルします。

菊池涼介は、右手親指のしなりを解いた後も左足をインステップしており、右手親指の腹でボールを叩く直前にウェイトを左足のスパイクの外側に移し、スリークォーターで一塁に送球します。マクブルームが背骨の右側(マクブルームは左投げ)で捕球するから(左肩が残らない)です。

上川畑は、一二塁間を走路を膨らませずに走れます。二塁ベースを蹴った後も走路を膨らませずに走れます。

しかし、上川畑は、二三塁ハーフウェイから一塁に帰塁する場合は、一二塁間において二次リードを取ったときに比べ、急ピッチで戻らなければなりません。走塁におけるトップを作る間が作れないので、右股関節をバックステップしきらない内に、左股関節がフロントステップ(外旋)します。

右足首を背屈してポップアップスライディングしますが、帰塁が送球が一塁を通過するまでに間に合いません。

しかし、万波がスイングする前に、床田のボークが成立していたので、上川畑は、二塁に戻されます。万波は、スイングし直しとなります。

万波の打球を中村奨成がノーバウンドで捕球できなければ、ボークは無かったこととされ、上川畑は、三塁ベースを蹴って本塁に生還していたでしょう。

追加更新情報

遠藤は、プレートの一塁側に右足のスパイクの外側を沿わせる。左足のスパイクの内側、右足のスパイクの内側でエッジをかける。左足の内踝から踵が右足踵からはみ出す。グラブは背骨の前で胸の高さにセットする。右手親指基節骨でボールを押す。

右手親指基節骨でボールを叩いてグラブから抜き取ってから左膝をベルトの上の高さで屈曲し、右足一本で立つ。右腕前腕部を回外後、左足前脛骨が回外(内反)する。

矢崎は、右足のスパイクの外側をプレートの三塁側に沿わせる。左足のスパイクの内側、右足のスパイクの内側でエッジをかける。両足の爪先、踵を揃えている。グラブは、背骨の右側で鎖骨の高さにセットする。クイックでは、左膝を右膝の高さまでしか上げない。右腕前腕部を回外し、右手親指基節骨でボールを叩いて右肘を上げるスタンダードWを採用している。左足はスパイクの内側の踵寄りから入射している。左肘のアクセレーション前に頸反射はしていない。右腕前腕部を回外後、右手親指基節骨でボールを叩いてフィニッシュする。

小園は、左肘のフライングエルボーの後、右足のスパイクの外側から入射している。

上原は、左足をプレートの三塁側に左足のスパイクの外側を沿わせる。右足は、スパイクの外側の踵寄りから入射している。リリース直前の左手小指基節骨の入射角は60°である。右膝の屈曲の角度は、150°である(135°よりも垂直に近いと屈曲が深い)。リリース後の左肘の高さ、左肘のレイトコッキングの角度、左腕と背骨の交わる角度は、何れもオーバーハンドである。両股関節をぶつけた後、右膝から下がO脚になる。リリース後の左股関節の内旋の加速距離が長い。左腕前腕部を回外後(フォロースルー後)、右足首が背屈し、左足がヒールアップする。

堀は、左足のスパイクの外側をプレートの一塁側に沿わせる。グラブは、背骨の左側で丹田の高さにセットする。

北山は、プレートの一塁側に右足のスパイクの外側に沿わせる。

ボークについて網羅したものとして下記参照

[野球経験者が教える]14種類のボーク

対広島3回戦のゲームプラン

古川、谷川、石川直也は、オーバーハンドであるが、上半身と下半身の捻転差が大きい。望月は、前足をスパイクの内側から入射する。日本ハムのリリーフは層が薄い。吉田輝星を先発に回すだけの余裕がブルペンスタッフにはない。

伊藤大海は、初球からストライクゾーン内に投げ込み、ストライク先行でも一球外さずに、ゴロを打たせ、少ない球数でアウトを稼いでいく。100球前後で7イニングを食う。

8回吉田輝星、9回は、北山という継投を行う。吉田輝星の阪神戦先発は反故にする。

九里は、右手親指を屈曲させて右腕前腕部の回内を止めます。首は、両肩を結ぶラインの内側に曲がります。左肘が下がらず右肩の方に入ります。右肘をつまみ上げます。審判に静止が足りないと評価される余地があります。

左股関節を垂直に屈曲します。左膝を上げずに、左足首を底屈します。右肘が折れます。右肘をつまみ上げたとき、両肩を結ぶラインの内側に首が曲がります。右足の拇指球で地面を蹴ります。

本塁に投げる場合も一塁に投げる場合も左足はスパイクの内側から入射します。

投球におけるトップを作る間ができません。右手の親指のしなりを解く前に右肩が残りません。最大背屈位並びに右手の小指の付け根及び右手人差し指の付け根でボールを押してコーナーに投げ分けます。

打者は、トップを作る間がゆったりと取れます。九里は、左足を上げずテイクバックも小さいので、一見、クイックが上手そうに錯覚しますが、クイックは上手くありません。プレートを前外し又はプレートを外さずに一塁に左足を向けたとき審判に偽投と評価される余地があります。

九里は、右投手ですので、一塁走者に背を向けます。一塁走者は、走塁のおけるトップ(左手親指のしなりを作ること)を投手がセットを解く前に作った後、左手親指のしなりを解くのを早めても遅らせてもボークを誘導することができます。

中村奨成は、左手の小指で投球を叩いて背骨の右側で捕球します。

しかし、中村奨成は、一塁走者が二塁に走る場合は、二三塁間のハーフウェイを通過していた一塁走者が一塁に帰塁する場合に比べ、トップを作る間が短くなります。中村奨成は、トップを作る間が取れないので、左股関節を戻すことができません。

石原貴規は、背骨の左側で捕球します。左肘、左肩を入れないとトップを作れません。リリース直前までインステップし、スリークォーターで二塁に投げます。右手親指の腹でボールを叩く前に右肩が残りません。

一塁走者は、石原貴規がマスクを被ったときも、中村奨成がマスクを被ったときも盗塁を仕掛けていくといいでしょう。
無死二塁のケースが作れたら、二番の左打者が一塁側にバントします。

2022日本ハム対広島2回戦、9回表、二死一三塁、初球、一塁走者が二塁に走っても捕手は二塁送球は厳禁のケース、中村奨成は、二塁に送球します。三塁走者の中島卓也は、本塁に還ります。
これで、広島の捕手は、坂倉を除いた捕手が全員、一、三塁のケースで二塁に送球したこととなります。

中村奨成がマスクを被っても、石原貴規がマスクを被っても、會澤がマスクを被っても、一塁三塁のケースを作れたのであれば、重盗を仕掛けるといいでしょう。
アルカンタラは右打席に入る。

万波、アルカンタラ、野村は、九里のナックルカーブを待って全ての球種に対してレフトにフライボールを打つスイングをする。インローのツーシームをレフトスタンドに叩き込みます。
私であれば、第三戦のスターティングメンバーは下記のとおりに組みます。

(遊)上川畑
(中)淺間
(左)松本
(右)万波
(二)アルカンタラ
(三)野村
(一)清宮
(捕)宇佐見

投打の源泉及び土台

日本ハム

2回裏、上原は、27球目、マクブルームに対し、真ん中低めにチェンジアップをワンバウンドさせる(ハーフスイング、ボール)。
3回裏、上原は、38球目、野間に対し、アウトローにスライダーをワンバウンドさせる(ボール)。
5回裏、上原は、57球目、小園に対し、アウトローにフォークをワンバウンドさせる(ボール)。
6回裏、上原は、89球目、マクブルームに対し、アウトロー(右打者のインロー)にフォークをワンバウンドさせる(空振り三振)。

7回裏、玉井は、12球目、宇草に対し、アウトロー(左打者のインロー)にチェンジアップをワンバウンドさせる(ボール)。

広島

1回表、遠藤は、3球目、上川畑に対し、インロー(左打者のアウトロー)にチェンジアップをワンバウンドさせる(ボール)
1回表、遠藤は、11球目、清宮に対し、アウトロー(左打者のインロー)にチェンジアップをワンバウンドさせる(空振り三振)
1回裏、遠藤は、15球目、野村に対し、アウトローにカーブをワンバウンドさせる(ハーフスイング、ボール)。
3回裏、遠藤は、49球目、清宮に対し、アウトロー(左打者のインロー)にスライダーをワンバウンドさせる(空振り)。
3回裏、遠藤は、54球目、野村に対し、アウトローにカーブをワンバウンドさせる(ボール)。
4回裏、遠藤は、68球目、上原に対し、アウトロー(左打者のインロー)にチェンジアップをワンバウンドさせる(ボール)。
5回裏、遠藤は、70球目、上川畑に対し、アウトロー(左者のインロー)にチェンジアップをワンバウンドさせる(ボール)。
5回裏、遠藤は、72球目、上川畑に対し、アウトロー(左打者のインロー)にスライダーをワンバウンドさせる(ボール)。

6回裏、松本竜也は、6球目、宇佐見に対し、インロー(左打者のアウトローにフォークをワンバウンドさせる(空振り三振)。

9回裏、矢崎は、6球目、アウトロー(左打者のインロー)にスライダーをワンバウンドさせる(ボール)。
9回裏、矢崎は、8球目、アウトロー(左打者のインロー)にフォーシームをワンバウンドさせる(四球)。
9回裏、矢崎は、16球目、清宮に対し、アウトロー(左打者のインロー)にスライダーをワンバウンドさせる(ハーフスイング、ボール)。

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