2020NPB加盟球団ドラフト指名候補投手動作解析(追捕)

Last Updated on 2023年3月7日 by wpmaster

前回のドラフト上位指名候補三投手の動作解析を行ったが、この三投手のみでドラフト上位指名候補を決めているわけではなく、サンプルとしては少なすぎる。ドラフト会議が始まるまでの間、より多くの投手の動作解析を行っていきたい。

栗林良吏(右投げ右打ち 名城大ートヨタ自動車)

栗林は、右足小指球で地面を蹴ってから左足小指球で地面を蹴る。右足踵で地面を蹴り、右股関節を外旋する。投球肩を前肩よりも下げ、背骨が二塁ベース方向にステイバックする。
「く」の字を作ったときに、中日吉見のように背骨を深く前傾し右股関節を荷重する。右股関節、右足前脛骨筋をしならせることができない。名城大の頃と異なり、右腕を背中の方に引かなくなり骨盤の横に留めるが、右肘を逆Lにしたとき、左腕上腕部が背骨の方に入る。前肩を開いてからでないと右肘を推進できない。1回目の右腕上腕部の外旋、右腕前腕部の回外のときに、右足小指球から拇指球にウェイトが移る。リリースの瞬間、左膝が突っ張りきらず、右腕上腕部が凹む。
左足踵で地面を蹴ってから後ろの股関節を外旋するので、前足で地面を蹴ってから後ろの股関節を外旋する打者でも、トップポジションを後ろの肩よりも上に持ってくる間ができる。前肩が開いてから右肘が出てくるので、前足首を底屈してから右肘が出てくるまでに間があるので、前足の着地位置を探ってからトップポジションを後ろ肩よりも上に持ってくる間ができる。

木澤尚文(右投げ右打ち 慶大)

木澤は、右足小指球で地面を蹴り、左足拇指球、左足小指球の順で地面を蹴る。右足スパイクの外側でエッジをかけるという過程を経ずに、右足スパイクの内側でエッジをかける。右手首のヒッチ、右肘をつまみ上げる間ができない。左肩甲骨周辺の筋肉が背骨の方に入る。テイクバックのときに右腕前腕部が骨盤からはみ出る。右肘を逆Lにしたとき、右足拇指球にウェイトが移り、両肩がM字になる。リリースの瞬間、左膝が屈曲し、右腕前腕部をしならせる間ができない。前足で地面を蹴ってから後ろの股関節を外旋する打者でも、トップポジションを後ろの肩よりも上に持ってくる間ができる。

入江大生(右投げ右打ち 明大)

入江は、右足踵で地面を蹴ってから左足の小指球で地面を蹴る。しかし、右足のスパイクの内側にエッジがかかり、背骨が二塁ベース方向にヘッドステイバックしない。
前足首を底屈してから右肘が出てくるまでに間があるので、前足の着地位置を探ってからトップポジションを後ろ肩よりも上に持ってくる間ができる。左肩甲骨周辺の筋肉が背骨の方に入り極端なヒップファースト。しかし、左足の着地位置の探りは長くない。右腕上腕部を外旋してから右腕前腕部を回内するまでの間に両肩甲骨がぶつかる。しかし、右足拇指球にウェイトが移る。2回目の前腕部の回内の前のレイバックの角度は小さく、森下のように楕円運動のスイングを行う。左膝は、右腕前腕部の2回目の回内(リリース)の後に蹴っているので、右手の指先のしなりが足りない。ドラフト前の比較では、森下よりレベルが落ちる。

鈴木昭汰(左投げ左打ち 法大)

鈴木は、左足のスパイクの外側小指球寄りで地面を蹴り、右足小指球で地面を蹴る。その後、左足踵で地面を蹴り左股関節を外旋する。右肩甲骨周辺の筋肉が背骨の方に入る。左肘を逆Lにしたときも投球肩を前肩よりも下げているが、左肩関節を背中の方に引き、背骨から左肘がはみ出る。前肩を開かないと左肘を推進できない。左肘を推進すると両肩がフラットに回ってしまっている。右膝はリリース⑤に地面を蹴っている。
前足で地面を蹴ってから後ろの股関節を外旋する打者でも、前足の着地位置を探る打者でもトップポジションを後ろの肩よりも上に持ってくる間ができる。

平内龍太(右投げ右打ち 亜大)

平内は、右足の拇指球、左足小指球、右足スパイクの内側の踵の順で地面を蹴り右股関節を外旋する。左膝を上げると右足スパイクの外側でエッジがかかる。左腕前腕部が背骨の方に入る。右腕は骨盤よりやや手前まで引いている。左リリース前のレイバックは大きくなく、投球腕のスイングは、楕円運動を産み出している。左膝は、リリース後に地面を蹴っている。右手の指先はしならない。

中森俊介(右投げ左打ち 明石商)

中森は、右足小指球、左足スパイクの内側、右足踵の順で地面を蹴る。左腕上腕部が背骨の方に動く。「く」の字を作ってから右腕は骨盤の横で止める。投球肩を前肩よりも下げる。右肘を逆Lにしたとき右膝が右足つま先の前に出る。骨盤は後傾していない。左肩はスクエアにしている。リリース前に左膝で地面を蹴り、リリースの瞬間左膝が突っ張る。背骨と右腕の交わり、指先の高さ、投球肘の高さ、コッキングの角度を総合するとスリークォーター

山下舜平大(右投げ右打ち 福岡大大濠)

山下は、右足のスパイクの内側の拇指球寄り、左足小指球、右足のスパイクの内側の踵の順で地面を蹴る。右股関節を外旋。左腹横筋が背骨の方に入る。前膝はヘソの高さまで上げ、投球肩が前肩よりも下がる。右腕は骨盤の横まで引く。しかし、右肘を逆Lにしたとき右肘が背中の方に入る。右足のスパイクの内側でエッジをかけ、右肘をつまみ上げる前に左膝、左肘を並進してしまっている。リリースの瞬間、左膝がつま先の前に出る。投球腕のスイングが泳いでいる。

笠島尚樹(右投げ右打ち 敦賀気比)

笠島は、右足のスパイクの内側、左足小指球、右足踵の順で地面を蹴る。左臀部、左腸腰筋が背骨の方に入る。投球肩を前肩より下げたとき、骨盤が後傾し、臀部が沈む。左足着地位置を探り始める。右肘を逆Lにしたとき、右手が背中の方にはみ出る。右足のスパイクの内側でエッジをかけてしまっている。両肩がM字になる。前肩が開いてから押手の肘が出る。リリースの瞬間、左膝が屈曲する。指先をしならせる間ができず、両股関節をぶつけることにによって産み出される瞬発力が下半身に吸収されてしまっている。

小林樹斗(右投げ右打ち 智辯和歌山)

小林は、前肩を若干オープンにして右足小指球で地面を蹴ってヒールアップ。左足で地面を蹴った後、右足踵で地面を蹴る。前膝を落としたときも右足踵で地面を蹴る。右腕は骨盤の横まで引く。前肩がスクエアなる。右肘をつまみ上げたときは、右足のスパイクの外側でエッジをかけられているときと、内側でかけてしまていることがある。右肘でスクラッチして人差し指、中指をしならせたたとき、フランスアのように両肩甲骨がぶつかる。前膝は、リリースの僅かに後に蹴っている。右足のターンは、インサイドアウトで両足がクロスする。
即戦力ではないが、3位か4位で指名してもいいだろう。

高橋宏斗(右投げ右打ち 中京大中京)

髙橋宏斗は、右足の小指球から右足踵をスライドさせるのとシンクロさせながら、左足のスパイクの外側で地面を蹴る。しかし、骨盤が後傾し、一塁側にヘッドステイバックする。前膝を落として前膝を二塁ベース方向に振ったとき、右足小指球にウェイトが移る。前肘が出た後、左足を踏み出すが、一歩目が広い。左足を踏み出した後、右足つま先を三遊間に向けて右股関節を外旋するが、右肘をつまみ上げたときに右足小指球から右足拇指球にウェイトが移る。リリースの瞬間、左膝が突っ張らない。リリース期からフォロースルー期にかけての一塁側へのタンブルが前ヤクルトのブキャナン、中日藤嶋のように大きい。

豆田泰志(右投げ右打ち 浦和実)

豆田は、右足拇指球、右足踵、左足小指球、右足拇指球、右足踵の順、左足スパイクの内側の順に地面を蹴る。前肘が背骨の方に入る。前膝を上げたとき、右足のスパイクの内側でエッジをかけてしまう。前膝のMaxは胸の高さで、投球腕が前肩よりも下がる。「く」の字を作った後、ややヒッップファーストで左足を踏み出す。中日吉見のように右股関節を荷重する。右膝が右足つま先の前に出てしまう。右肘をつまみ上げたとき両肩甲骨がぶつかているが、左足着地位置の探りが長い。ストライドが広く、右肘をつまみ上げたとき、右足のつま先で立つ。リリースの瞬間、左膝が屈曲し、指先がしならない。右足のターンがドアスイング。

大道温貴(右投げ右打ち 八戸学院大)

大道は、右足拇指球で地面を蹴ってヒールアップ、左足小指球、右足踵の順で地面を蹴る。前膝を肋骨の高さまで上げる。投球肩を前肩より下げるが右足はスパイクの内側でエッジをかけてしまっている。「く」の字を作ったとき、右膝が右足のつま先より前に出ない。骨盤も後傾しない。右腕は骨盤の横で止め右肩関節を外転(右脇を空ける)し、テイクバックしない。前足の着地位置を探らず、一岡のように左足踵を真横(一塁側に)スライド。右肘をつまみ上げたとき、左足内踝が地面に付いているがCアーチは崩れていない。左膝で地面を蹴るのがリリース後になっているが左膝が弓のように突っ張る。右膝のターンはインサイドアウトで両足がクロスする。

山﨑伊織(右投げ左打ち 東海大)

山﨑は、右足拇指球、右足小指球の順で地面を踏み、右足踵をヒールアップ、右足スパイクの内側の踵、左足拇指球、右足スパイクの内側の順で地面を蹴る。前膝をヘソの高さまで合上げたとき、左臀部が背骨の方に入る、背骨が一塁側に倒れる。「く」の字を作ったとき、左肩甲骨周辺の筋肉が背骨の方に入り、右腕を背中の方に引く。リリースの瞬間、左膝がほぼ突っ張るが、左足首から上は、弓状にはしならない。背骨と右腕の交わり、コッキングの角度、右肘、右指先の高さを総合するとスリークォーター。