2年半の不振からの脱却に挑む藤浪晋太郎のピッチング

Last Updated on 2023年3月9日 by wpmaster

藤浪は、2019年2月24日の中日とのオープン戦(北谷)に先発し、4回4安打6四死球3失点。

1点リードの四回、先頭の木下拓に死球を与えると四球、二塁打などで逆転された。

その前の17日の日本ハムとの練習試合(宜野座)でも先発したが3回を投げて7安打2失点。

メジャーに進んだ大谷は、今季は打者一本で行くこととなったが、その大谷と同期でライバルであったのが藤浪。

藤浪は、プロ一年目から先発ローテーション入り、前田健太が渡米した後、一時はセリーグでは菅野に次ぐ右投手であった。

2016年中盤から不振となったが、筆者は100%フィジカルを源泉にした技術面が原因であると断言してきた。

メンタルは全く関係ないと断言してきた。

それは今で確信をもって言える。

現在、今後も私は、その立場を変えることはない。

昨季の通算成績(2018)

開幕2戦目となった3月31日の巨人戦(東京ドーム)でシーズン初登板を果たしたが、5回4失点で勝ち負けは付かなかった。

6月15日の楽天戦(楽天生命パーク宮城)で6回9奪三振無失点でシーズン初勝利を挙げ、2017年5月4日以来の勝利投手となったが、以後も不安定な投球が続き一軍と二軍との昇降格を繰り返した。

7月27日の降格後はおよそ1ヶ月半の間二軍で調整し、9月16日に一軍に再昇格。

昇格即先発となった16日の対DeNA戦(横浜)で、6月27日の対DeNA戦(横浜)以来81日ぶりとなる3勝目を挙げた。

29日の対中日戦(ナゴヤ)では9回を5安打無失点で、自身2年ぶりとなる完封で5勝目を挙げた。なお、この勝利で通算50勝を達成。高卒6年目以内での50勝到達は球団では江夏豊(3年目:1969年)以来2人目で右投手では球団史上最速であった。

動作解析

藤浪は、二段モーションを採り入れることで大腿骨を骨盤に刺すという上下運動により肩甲骨周辺の稼働域を広げることを試みているのだろう。

藤浪は、セットポジションで、両手をベルトの辺りに置くことで内転筋を絞り、右股関節の内旋→外旋のプロセスを円滑にしている。

右足踵に重心をかけて右股関節を外旋し、左膝をレッグアップ&ダウンする(二段モーション)。

クイックときは、スパイクの内側に重心をかけ、右股関節の外旋なしで右膝を内旋し、左足を踏み出す。

テイクバックのときに、右腕を背中の方に引き、テイクバックが横に大きい。

これが不振の原因の一つである。

テイクバックが横に大きいのは百害あって一利なしである。

左足はスパイクの内側の踵から着地する。

左足がインステップするので、右股関節の内旋に右肘の出が遅れて、上体が一塁側に倒れずに、体軸が横回転する。

トップを作ったときに右膝が内に入り、左肩、左膝が割れる。

これも不振の原因の一つ。

トップを作ったときに右腕前腕部が回外して(回内できていることもある)右肘が沈むことがある。

回外したままでいるから、リリースの瞬間に小指側の腹を前に出し、人差し指と中指でボールを切ることができず、ボールを包み込んでしまい、アウトローに大きく外れてしまう。

トップを作ったときの右腕上腕部の外旋が大きい。

それ故、リリースの瞬間に右肘が下がる。

右肘よりも右股関節が先に内旋することによるショルダーファーストなので、球離れが早い。

左足の着地から右肘が出てくるまでの間が長い。

藤浪は、最大外旋位のときに打者と両胸が正対する場面も多い。

この間が長い横回転の投手は、打者にとってバットとボールの距離が取りやすいだけでなく、ドアスイングなので瞬発力がボールに伝わらない。

クイックのときも含め、リリースの瞬間に左足を突っ張るので、これはボールに瞬発力が伝わる動作である。

リリースの瞬間に右腕上腕部が凹む。

藤浪は、トップを作るまでとトップを作った後の双方において体軸が横回転し、リリースの瞬間に右肘が伸びるスリークウォーターの投手になった。

それにより与死球も多い。

藤浪の場合、テイクバックのとき、又は右足から左足に重心を移す過程若しくは左足の着地の寸前のいずれかにおいて、左肩より右肩が下がることが一度もない。

外国人のスリークウォーターの投手は、テイクバックのときに右肩が下がらなくても着地までの間に一旦右肩を下げている。

一度も右肩を下げることなく右足から左足に重心を移す過程で右肩が左肩の位置よりも上がってしまうので、重心が一旦、三塁側に傾いてしまう。

テレビ局の人間は、藤浪の右腕が横振りになるのは一塁側に上体が倒れるからだというが、藤浪の右腕の振りが横振りになるのは上体が一塁側に倒れるからではないのだ。

一塁側に上体が倒れないから腕が横振りになる。

メディアは、事実と全く逆のことを言っている。

わからん奴は引っ込んでろや。

テイクバックのときに右肩を下げるとトップを作る前に左肩が開いてしまうのであれば、全前述の上下運動(ヒッチ)を使うか、着地直前に一旦右肩を下げないと横回転を修正できない。

後述のように投球動作が若干の改善しつつあるが、課題が山積しており、前途は、依然といて厳しい。

藤浪は、左膝で「く」の字を作らずにインステップするのでステップ幅が広く、これも右肘の出が遅れる原因である。

腕の位置を下げれば下げるほど、軸が三塁側に傾くから、リリースのときに右肘が突っ張る。

リリースのときに右肘が突っ張るととリリースのときに、ボールの外側を人差し指と中指で縦に切ったり、ボールの外側を引っ掛けることができないからシュート回転してしまう。

藤浪だけでなく、限りなくサイドスローに近いスリークウォーターの山口俊、ほぼサイドスローのヘルウェグにしてもそう。

阪神のコーチは、やらなければいけないことの逆をやってしまっています。

1. テイクバックが横に大きい。

2.インステップするので、体の回転が横回転になる。

よって、右肘が遅れて出るので、死球も多く、打者も懐の深い打撃ができる。

改善策のポイントとしては、1.左足を着地するまでに1回どこかで右肩を下げる。

2.ステップ幅を狭くする。

左肘を左膝が並進せず、左足を踵から着地させる投げ方なので、赤土で硬いコボスタ、粘土で傾斜が急なナゴヤドームでは、右膝の内入りを抑制でき、成績が良い(共に防御率0.00)。

黒土で柔らかい甲子園(防6.93)マウンドの柔らかい横浜(防 8.10)の成績が良くない。

マウンドの硬いメットライフ、東京ドーム投球動作(ショルダーファースト=ドアスイング)が全く修正されていない頃のものなので成績が良くない。

今季から甲子園もマウンドが硬くなる。ステップ幅が広く重心が低いと、硬いマウンドでは、左足の着地後、左股関節が前に出されて上体が前のめりになる。

重心が三塁側に残ってしまい、右足のターンと一塁側へのタンブルができなくなる。

左足の着地から右肘が出てくるまでの間が長いが、打者は、ステイバックの過程で左肩が内に入ったり、左肩が左足の着地より先に開いたり、ステップ幅が広いと、右肘の出が右股関節の内旋に遅れてしまう。

左肩が内入りして上体がホームベースに被さったり、左肩の開きが早いと真ん中低目~アウトローのボール球のフォークにヘッドが止まらなくなる。

各種指標(2018)

コース別成績

右打者

左打者

球種配分

球種別成績

対戦成績

追加更新情報

(2022)

日本ハム1回戦

年度別通算成績

NPB