フォロースルー後の後ろ足のターン[右投手は上体を一塁側に流せ]

Last Updated on 2023年6月6日 by wpmaster

昨日の試合は、0-1のビハインドから代打バティスタの本塁打で逆転し、

その後も追加点を上げ、5-1でDeNAに勝った。

バティスタは、今永のストライクゾーン内の真ん中高めのチェンジアップを

右肘のコックアップを入れ直してしまったが、フォローを大きくしてスタンドに入れた。

ヤクルト戦で小川から、昨日は、今永からと打った投手のレベルもデビュー当時よりもアップしており、確実に実績を積み上げている。

誠也がノーステップに準じた打法(第3打席はすり足)で左方向に4安打。

この打法は、ボールを待っているときからテイクバックにかけて左膝をブロッキングしてしいるが、コックウアップが深く、ボールを受けてしまい後肩が残らず、フルスイングしきれず、バックスピンをかけたとしても失速してしまうのだ。

この辺の話は、前記事「広島東洋カープが他球団から学ぶこと」のコメント欄に詳しく書いたので、

詳細は割愛します。

この試合の解説は、山本浩二氏と池谷公二郎氏。

解説のところで一つ気になることがあったので書きたいと思う。

今永は、相対的に、三塁側に体重移動ができている投球が多い。

九里のことがお気に入りで九里とよく話をする池谷公二郎さんは、

今永のピッチングについて、「リリースのときに右膝が伸びたら、力が伝わらない、

左足がクッションになって腕が先に出ていくのを抑えなければならない」旨をおっしゃった。

アナウンサーが、今永がフィニッシュのときに右足が緩く曲がったまま、左足で一塁側に四股を踏んで、

股関節から下が台形になっているのを見て、

「今のですね」というと池谷氏は、「そう、今のがそう」とおっしゃった。

膝が後方に反って伸びていたら、指先に瞬発力が伝わらないし、つま先より前に出されても瞬発力を逃がしてしまうとする指導者が未だに多い。

バッティングのスイングは、加速させて、バックスピンがかけられた球の軌道に抗わなければならない。

インパクトのときに膝が伸びて球を受けたらダメだとする。

しかし、ピッチングのスイングには、反対側からボールが向かってくるのではない。

投球肘のアクセレーション後は、ステップした足の膝は真上に伸びていないと投球肘のアクセレーションが膝のところで止まってしまい、投球肩の内旋運動がMaxでボールに伝わらないのだ。

このことは、同じ広島OBの川口和久氏も述べている。

テイクバックが大きいと前足がインステップする。
投球腕の前腕部を回内運動の加速距離が短くなる。投球肘が上がらない。
投球肘のアクセレーション前に後足の股関節が内旋するとストライドが広がり、前膝が屈曲する。後ろ足の拇指球で地面を後ろに蹴ることをブロックできない。

投球肩関節の内旋運動にブレーキをかけることができずに、引手の肩甲下筋が突っ張る。引手の肘が落ちずに前肩が開く。引手上腕部の内旋運動、投球腕上腕部の回外運動の回転半径が長く加速距離が短くなる。

投球腕の小指の付け根又は人差し指の付け根でボールを追っつけるドアスイングになる。右投手は三塁側、左投手は一塁側に背骨が傾く。

投球腕の回外運動の後に右投手が三塁側、左投手が一塁側に背骨が傾くことによって、回外運動(アクセレーション)、回内運動(リリース)、回外運動(フォロースルー)が遠回りしてしまうのである。

投球腕の前腕部を回外し、投球肘を加速させた後は、後ろ足の股関節が内旋が始まると共に、前足の股関節が外旋し、前足の股関節が引っ込む。

前足の股関節が引っ込むことにとって後ろ足の拇指球で地面を後ろに蹴ってしまうことを防止する。

投球腕の前腕部を回内すると、投球腕上腕部の投球肩関節は内旋する。投球肘が上がり、側副靭帯が弛緩する。

投球する手の小指基節骨から後ろ足の内踝までのラインにバナナカーブが生ずる。

投球肩関節が内旋した後は、引手の前腕部が回外し、前肘が落ちる。
後ろの胸郭が張り出し、背骨がタンブルする。引手の前腕部が回外すれば、引手の上腕部は外旋するから右投手は一塁側に、左投手は三塁側に上体が流れることは避けられない。
但し、引き手の手首が背屈し、引手の肘が屈曲し、引手の肘が落ちているので、引手上腕部の内旋運動、投球腕前腕部の回転半径は短く、加速距離は長いので、投球腕は遠回りしていないのである。

投球肩関節が内旋した後は、後ろの股関節が内旋し、後ろ足のの膝が屈曲する。

投球腕の前腕部を回外してフォロースルーを行った後は、前足の股関節が外旋する。右股関節が内旋する。
上体が一塁側に流れる。

フォロースルー後は、後ろの股関節を内旋し両足をクロスさせ、上体は一塁側に流さないと投球腕の回外運動が後ろ足の股関節の内旋運動によるフォローを受けられないのである。

黒田も前田健太は、フィニッシュのときに限ってではあるが、左膝を伸ばし、右足を左足の上を通過させて一塁側に重心移動をしている。これはフォロースルー後ではなく、投球肘のアクセレーション後にしておかなければならない。

今日投げた野村も2016年からは、黒田や前田健太と同様に投げている。

藪田(登録名薮田)もフィニッシュのときに左膝を伸ばすように、佐々岡コーチなのか畝コーチなのか小林幹英コーチなのかメディアリリース上特定されていないが、指導されたという。

但し、根拠は、体が前に出されるのが防止されるからだという。

根拠がリアルじゃないのだ。

池谷氏のいう右投手が三塁方向に、左投手が一塁方向に体重が残っていたら、股関節を使った内旋運動を途中で止めてしまっているのだ。

投球腕前腕部の回外運動、回内運動が、後ろ足の股関節の内旋運動によるフォローを受けられないのだ。

一塁側に体を流さずに四股を踏めという指導が九里やが伸び悩んでいることに、関係している。

三塁側であろうと一塁側であろうとプッシュバント以外のバントは捕手にベアハンドキャッチさせる。

池谷氏も川口氏もどちらも広島、巨人の両球団に在籍している。

プロ野球選手は、個人事業主で、池谷氏は、今は広島とコーチ契約を結んでいないので、

九里もコーチとして在籍していないプロ野球OBに言われたことは取捨選択できるので、池谷氏を責めているのではない。

九里は、複数のOBから相反するアドバイスをもらったら、自分で調べてどちらか又は、いずれでもない別の投球動作を採り入れればいいのだ。

フィニッシュ(投球腕前腕部の回外)のときにすらステップした足の膝を伸ばさない投げ方をしている投手は、広島、巨人だけでなく、他球団の現役選手にもいることから、

それを拠り所にしているプロ野球OBが他球団にも未だに多いことが看て取れる。

チームが強くなるのは、いかに、個々のコーチや選手が進歩しつつある新しい野球を勉強し続けるかなのだ。